OidiumReticuloidium 亜属うどんこ病菌に対するキュウリ10品種の感受性


[要約]
近年発生が確認された OidiumReticuloidium 亜属うどんこ病菌に対する東京都でのキュウリ主要10品種の感受性は、従来のウリ類うどんこ病菌とほぼ同様である。両亜属が混発している圃場でも、本病の防除には従来菌に対する耐病性品種が利用可能である。

[キーワード]果菜類,糸状菌、発生生態、キュウリ、うどんこ病、 OidiumReticuloidium 亜属、品種

[担当]東京農総研・生産環境科病害虫管理チーム
[代表連絡先]電話:042-528-0520
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
キュウリでは、従来から問題となっている OidiumFibroidium 亜属うどんこ菌(OF菌)に対する耐病性品種が普及している。ところが、近年東京都において、従来とは異なる OidiumReticuloidium 亜属菌(OR菌)によるうどんこ病が広範に発生しており、OR菌に対する品種の感受性は明らかでない。そこで、東京都でのキュウリ主要10品種の各亜属うどんこ病菌に対する感受性を再評価し、本病防除のための知見とする。

[成果の内容・特徴]
1. 接種には、OR菌は東京都の瑞穂町産(2005年5月採集)、立川市産(2005年6月)の2菌株、OF菌は立川市産(2006年8月)1菌株の計3菌株を供試した。
2. OF菌感受性3品種にOR菌を接種すると、アンコール10、南極2号では両菌株とも発病が認められるが、湧泉では接種した菌株により感受性が異なる(表1)。
3. 同接種試験において、OF菌耐病性品種(金星、夏すずみ、Vロード)では発病は認められない(表1)。
4. 圃場における自然発生条件下(2007年)において、OF菌感受性7品種はすべて5月中に発病が認められ、5月下旬までOR菌がOF菌よりも優占する(表2)。一方,同耐病性3品種ではOF菌、OR菌ともに発病を認めない(表3)。
5. 感受性7品種間における菌種の比率は,品種間でほぼ同様である。
6. 6月中旬以降は、OF菌耐病性3品種も発病するが、同3品種上に発生する菌種はすべてOF菌でありOR菌の発生は認めない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. OidiumReticuloidium 亜属うどんこ病菌に対するキュウリ品種(OF菌感受性7品種,同耐病性3品種)の感受性は、従来の OidiumFibroidium 亜属菌とほぼ同様である。
2. OF菌感受性品種内でもOR菌によるうどんこ病の発病状況には差異がある。
3. OF菌耐病性3品種(金星,夏すずみ,Vロード)利用により、両亜属菌混発圃場でも本病の発病を抑制できる。
4. 本知見は、減農薬栽培および薬剤耐性菌発生回避に活用できる。

[具体的データ]
表1 Oidium属Reticuloidium亜属うどんこ病菌に対するキュウリ品種の感受性
表2 Oidium属Fibroidium亜属うどんこ病菌感受性品種における発病と菌種の推移
表3 Oidium属Fibroidium亜属うどんこ病菌耐病性品種における発病と菌種の推移

[その他]
研究課題名:新発生・異常発生病害虫の原因究明と対策
予算区分:都単
研究期間:2003〜2008年度
研究担当者:星 秀男、佐藤幸生、小野 剛、堀江博道

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