ダイズ褐斑粒原因ウイルスの感染時期と褐斑粒発生率、種子伝染率との関係


[要約]
褐斑粒原因ウイルス(CMV、SMV、PSV)は生育初期に感染すると高率で褐斑粒を発生させ、種子伝染する。褐斑粒率はウイルスの種類によらず開花期4〜5週間後の感染でほぼ0%となる。種子伝染率は、SMVとPSVでは開花期の3〜4週間後、CMVでは6〜7週間後ころにほぼ0%となる。

[キーワード]CMV、SMV、PSV、褐斑粒、種子伝染

[担当]新潟農総研・作物研
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ダイズ褐斑粒はCMV、SMV、PSV等の植物ウイルスの感染によって発生するが、全ての原因ウイルスは種子伝染する。種子生産現場においては、ウイルスを媒介するアブラムシ防除や感染株抜き取り等でウイルス病を防除しており、効率的な防除法が必要とされている。そこで、ダイズ生育期間中のウイルス感染時期と褐斑粒率、種子伝染率との関係を調査し、効率的健全種子生産体系の策定に資する。

[成果の内容・特徴]
1. キュウリモザイクウイルス(CMV)、ダイズモザイクウイルス(SMV)、ラッカセイわい化ウイルス(PSV)は、開花期以前に感染すると高率に褐斑粒を発生させるが、開花期の4〜5週間後以降の感染では褐斑粒をほとんど発生させない(図1)。
2. CMV、SMV、PSVの種子伝染率は、初生葉から第一本葉展開時の感染で最も高く、徐々に減少する。SMVとPSVでは開花期の3〜4週間後、CMVでは6〜7週間後ころにほぼ0%となる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種はエンレイを用いた。

[具体的データ]
図1 開花期を中心としたウイルス接種時期と褐斑粒率の関係
図2 開花期を中心としたウイルス接種時期と種子伝染率の関係

[その他]
研究課題名:ダイズ種子伝染性病害の無毒化技術を中心とした健全種子生産技術の開発
予算区分:生物機能
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:黒田智久、名畑越夫、堀 武志、佐藤秀明、石川浩司

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