籾内に落下した褐色米病原菌の増殖


[要約]
褐色米を引き起こすAlternaria alternataは、開花期の籾内へ落下した直後から胞子が発芽し、菌糸が伸展する。同じくCurvularia lunataは、落下3日頃から胞子が発芽し、菌糸を伸展させる。両菌による褐色米は、30日後に出現する。

[キーワード]褐色米、Alternaria alternata、Curvularia lunata、籾内増殖

[担当]福井農試・生産環境部・病理昆虫研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
玄米表面が黒褐色となる褐色米の混入は、米の品質を低下させる要因の一つである。しかし、本病に関与する病原菌は種類が多く、感染過程が十分に明らかでないことから、難防除病害とされている。
 そこで、籾内に落下した病原菌の増殖と褐色米発生との関係を明らかにし、今後の防除対策の基礎資料にする。

[成果の内容・特徴]
1. 籾内に落下した A. alternata の胞子は、落下直後から発芽し、菌糸が蔓延する(図1)。
2. 籾内の C. lunata の胞子は、落下3日後から発芽し、菌糸が蔓延する(図1)。
3. それぞれの胞子懸濁液を出穂直後に接種すると、A. alternata では3日後から、C. lunata では7日後から褐変面積率50%以上の重症籾が増加する(図2)。
4. 接種30日後には褐色米の症状が出現する。接種50日後には、A. alternata では淡褐色粒の籾率が高いが、C. lunata では濃褐色粒、微斑点粒の籾率も高い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 発生予察技術確立および防除技術確立の基礎資料となる。

[具体的データ]
図1 接種により籾内部に落下したA. alternata 、C. lunata の増殖の推移
注)接種法
図2 A. alternata 、C. lunata 接種後の
重症籾率の推移  図3 A. alternata 、C. lunata の接種による
症状別褐色米の発生率

[その他]
研究課題名:褐色米の発生防除対策の確立
予算区分:国庫(科学技術振興事業)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:本多範行、古賀博則(石川県大)

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