イネ葉身におけるいもち病菌の病原性突然変異菌の出現頻度


[要約]
いもち病菌がイネ葉身上で胞子形成する場合、病原性突然変異菌の出現頻度推定値は10-5のオーダー以下である。この出現頻度は、オートミール培地上の頻度より低い。

[キーワード]イネいもち病菌、病原性、突然変異頻度、真性抵抗性、コシヒカリ新潟BL

[担当]新潟農総研・作物研・栽培科
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
マルチラインを持続的に利用するためには、スーパーレースの蔓延を回避できる利用法を明らかにする必要がある。そのためには、レースの長期変動予測モデルの利用が有効であることから、モデルの重要なパラメータの一つである病原性突然変異菌のイネ葉身における出現頻度を明らかにする。また、既報の変異頻度にバラツキがある原因として培養変異等の影響も考えられるため、胞子形成法による頻度の違いも検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 自然感染に近い条件としてコシヒカリの葉身上で胞子形成させた場合、コシヒカリ新潟BLでの病原性突然変異菌の出現頻度推定値は、10-5のオーダー以下である(表1)。
2. オートミール培地上で胞子形成させた場合、病原性突然変異菌の出現頻度推定値は、10-4のオーダー以下である(表1)。
3. 葉身上の突然変異頻度はオートミール培地上より低い(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 葉身上で胞子形成させた場合の推定値をレース頻度や抵抗性品種罹病化の予測に利用する。

[具体的データ]
表1 非親和性系統における病原性突然変異菌の出現頻度

[その他]
研究課題名:マルチラインの持続的利用に向けたいもち病流行予測システム
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:石川浩司、黒田智久、佐藤秀明、堀武志

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