飼料作物病害図鑑

アルファルファ そばかす病 リスク評価スコア2.7 (3,2,3)

病徴 病原菌(子のう殻)

病徴:1950年代に初めて報告され、北海道など冷涼地での被害が大きい斑点性の糸状菌病(農林水産研究文献解題〜アルファルファの病害)。初め若い葉が感染するが、後には葉柄など地上部全体が罹病する。早春、周囲に淡い「かさ」をもった直径 1〜2 mmの淡褐色の小斑点を作り、やがて拡大して、周囲が黒褐色で中央部が灰白色を呈した丸い病斑となる。感染した葉は落葉しやすくなり、ついに葉が枯れ上がる。秋に再びまん延する。冷涼多雨年に多い。古くなった病斑上には黒い小粒(子のう殻)が形成される。

病原菌:Leptosphaerulina briosiana (Pollacci) Graham et Luttrell、子のう菌
子のう殻は褐色で殻口はあまり目立たない。内部には無色、袋状の子のうがあり、ここから子のう胞子が放出され、伝染源となる。分生子は形成しない。病原菌はクローバ類のそばかす病菌とは別種である。罹病葉のさく葉標本情報から、過去の発生分布が推定されている(月星ら 2006b)。本病は播種年の個体の定着、発達、耐凍性および翌春の収量に悪影響を与える(竹田・中島 1991)。


防除法:抵抗性品種は海外でもあまり知られていないが、日本では抵抗性系統の選抜、市販品種の抵抗性検定および抵抗性遺伝率の推定が行われた(竹田ら 1994a, 1994b, 1995, 1997, 1998)。イネ科との混播は発病を抑制し、発病したときには早めに刈り取る。

総論:月星(2011c)


畜産研究部門(那須研究拠点)所蔵標本

標本番号 宿主和名 宿主学名 症状 採集地 採集年月日 採集者
N2-54 アルファルファ Medicago sativa L. そばかす病 千葉市長沼原町 雪印千葉農場 1959.4.28 西原夏樹
N2-52 下總 富里村七栄 1957.5.29
N2-55 千葉市 畜産試験場 1956.6.21
N2-43 農林省畜産試験場(千葉) 1964.7.4
N2-45 千葉市青葉町 農林省畜試 1965.8.3
N2-48 千葉市長沼原 雪印千葉農場 1959.4.22
N2-69 盛岡
N2-40 〃(茎枯病併発) 愛知県岡崎市 1964.5.21 西原夏樹
N11-67 宮城種畜牧場 1972.9.5
N21-69 那須森永 1972.10.19
N21-12 栃木酪試 1972.9.11

(月星隆雄,畜産研究部門,畜産飼料作研究領域,2021)


本図鑑の著作権は農研機構に帰属します。

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