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大麦新奨励品種「ハマユタカ」


福島県農業試験場
[部会名] 総合農業
[分科会名]畑作物
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    「ハマユタカ」(東山皮74号)は、昭和46年に長野県農業試験場において「東山皮61号」 を母とし、「ショウキムギ」を父として人工交配を行い、以後系統育種法により 選抜固定されてきた品種である。
    稈長はハヤミオオムギより長く、べんけいむぎより短い。稈の伸長は、出穂後の 伸長程度が他の品種に比べ大きい。穂数は多いが、穂長はやや短く、穂数型の 系統である。株はやや閉じ、葉身長短く、草型は良い。穂色は淡黄色で熟色も よい。
    播性はIV〜Vである。出穂期及び成熟期はハヤミオオムギより1〜5日遅く、中生種 である。耐寒雪性はハヤミオオムギより勝るが、べんけいむぎより劣る。穂発芽性は 難である。
    生産力はハヤミオオムギより高く、小粒であるが充実、粒揃い良く良質である。 粒の硬度は適度で、黒条線は浅くて細い。精麦歩留、白度は、ミノリムギ並で ハヤミオオムギより優れる。
    表1. 具体的データ
  2. 技術・情報の適用効果
    稈長はハヤミオオムギより長いが、稈質はしなやかで耐倒伏性が高く、また、穂揃いも 良いことから、これまでのハヤミオオムギよりコンバイン収穫での損失が 少なくなる。
    ハヤミオオムギより収量性高く、品質、加工適性とも優れるので、本県大麦の 多収、良質化が図れる。
  3. 適用の範囲
    福島県 浜通り及び中通り(標高300m以下の地帯)
  4. 普及指導上の留意点
    1. 赤かび病、うどんこ病に弱いので防除の徹底を図る。
    2. 調製は、2.2mmの篩目を用いて行う。
    3. 適期播種、適期収穫を励行する。
    4. 転換畑では排水対策を充分に行う。


[その他の特記事項]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分 :国1/2 県1/2
研究期間 :昭和29年〜継続
発表論文等:なし