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「コユキコムギ」の高品質安定栽培技術
岩手農試・技術部、県南分場、県北分場
[部会名] 総合農業
[分科会名]畑作物
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
新品種「コユキコムギ」について、パンおよび麺の両方の加工に好適な小麦の生産を
前提条件に、蛋白含量向上・開溝粒減少を主とする、高品質安定栽培技術を明らかに
した。
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全面全層播に比較して、ドリル播の方が開溝粒の発生が少ない傾向である。
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播種量はドリル播で10a当り6〜8kgが適当である。これより多い播種量では、粒の
充実が悪くなり、硝子率・蛋白含量ともに低下し、反面、基準播種量より
少なくすると、開溝粒が増加する傾向にある。
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播種期はできるだけ適期内早播とすることが、粒の充実、硝子率・蛋白含量向上、
開溝粒の減少に効果的である。
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後期追肥が高品質に結びつく。このうち、減数分裂期追肥は粒の充実に、また、
出穂期追肥は粒の充実、硝子率・蛋白含量の向上に効果が大きく、開溝粒の減少にも
効果がみられる。
図1. 播種期・播種量・追肥方法の違いによる品質・収量
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技術・情報の適用効果
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子実の粗蛋白含量を高位(12%以上)に安定させる技術の組立が可能となる。
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子実の開溝粒発生割合を低く抑える(10%以内)技術の組立が可能となる。
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その結果、実需者等から信頼を得るコユキコムギの高品質生産に寄与する。
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さらに、多収品種であるコユキコムギの作付が拡大・定着して、麦作農家の
経営改善に貢献する。
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適用の範囲
コユキコムギ栽培適応地帯
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普及指導上の留意点
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堆厩肥・土壌改良資材は十分施用するとおもに、基肥や融雪期追肥も地帯別基準量
に従って施用する。
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凍上害防止のための踏圧を必ず実施する。
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コユキコムギの開溝粒は品種特性であり、外観的に見劣りするが加工適性上
問題がない。
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穂発芽により著しく品質が低下するので、適期収穫に努めるとともに、乾燥も
適正かつ速やかに行う。
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コユキコムギは赤かび病にやや弱いので、出穂期から乳熟期にかけて長雨が予想
される場合は防除を徹底する。
[その他の特記事項]
研究課題名:麦類奨励品種決定基本調査
予算区分 :国、県
研究期間 :昭和62〜63年(播種)
発表論文等:なし