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大豆畑の雑草発生害の評価と予測
東北農業試験場・農村計画部・情報処理研究室
[部会名] 総合農業
[分科会名]畑作物
[分類] (3)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
大豆は、栽植密度が疎な夏作物であるため、生育の全期にわたって雑草発生が
起こり、雑草害も大きくなり易い作物である。このため多くの雑草防除に関する
研究が行なわれ、除草必要期間等の雑草防除の基準が求められてきた。
本情報は、これら既往の成果を踏まえながら、さらに除草必要期間内に発生した
雑草の影響を明かにするとともに、大豆の雑草害は大豆開花期の残存雑草量を
知ることで予測可能であることを明かにした
(図1、図2、
図3)。
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雑草による大豆の減収量率(%,Y)は、大豆開花期の対雑草群落比(風乾物比,X)との
間に、Y=EXP(4.56965-0.0216595*X) の関係が認められる。
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大豆開花期の雑草群落比(X)と雑草発生時期(大豆出芽期雑草発生始期までの日数,D)
との間には、X≦94.42-2.293*D の関係が認められる。
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雑草による大豆の減収量率(%,Y)と雑草発生始期までの日数(D)との間には、
Y≧f(D)=EXP(2.5245+0.04967D) の関係が認められる。
なお、Y=f(D)は雑草発生始期がD日の際の「減収限界曲線」である。
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技術・情報の適用効果
大豆畑の除草必要期間は、これまで、東北地域(盛岡)では35日間前後と知られて
いた。その期間以降に発生した雑草は作物に害を及ぼすことは少ないが、それ以前の
発生雑草は大豆に減収をもたらすため、防除が必要だとされた。しかし、除草必要
期間内に発生した雑草の影響程度は明らかでなかった。本情報は除草必要期間内に
発生した雑草についても、定量的に減収量率を評価できるようにするとともに、
雑草害は大豆開花期の雑草量で予測できることを明らかにした。これらの情報は
実験式で表わされたため、今後進むであろう栽培管理のコンピューター化に役立つ
知識として活用できる。
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適用の範囲
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標準栽培法の大豆一般
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対象雑草:メヒシバ、ヒメイヌビエ、オオイヌタデ等の一般畑雑草
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雑草発生本数は、総発生本数概ね100本/平方メートル以内の場合
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普及指導上の留意点
特にない。
[その他の特記事項]
研究課題名:畑作物における雑草害の発生機構の解明と発生予測法の確立
予算区分 :経常研究、別枠「情報処理」
研究期間 :60年〜64年
発表論文等:なし