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ワタアブラムシの薬剤抵抗性簡易検定法
秋田県農業試験場・環境部・病虫科
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
1984~87年に県内の農家および秋田県農業試験場のキュウリ圃場延べ20地点から採集
したワタアブラムシのDDVP、ホサロン、PAP、エチオフェンカルプの各乳剤に対する
感受性検定を実施した。その中から2地点を選んで圃場試験を実施し、室内試験と
比較検討した。
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室内試験(1984~86年)(表1)
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検定方法
ポットに栽培したキュウリの苗に無翅胎生雌虫を20個体放飼し、定着後(放飼1~2日後)
葉を切取り、供試虫とともに薬液中に10秒間浸漬する。それをシャーレに移し、
25度Cで24時間保持後生死を調査する。同一薬液の500倍液、1,000倍液でそれぞれ
3反復行う。
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検定結果
a. 採集地によって薬剤に対する感受性に差が認められた。
b. 採集地による各薬剤に対する感受性は次の4パターンに分けられた。
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全薬剤に対して感受性が低い。
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PAP、エチオフェンカルプに対しては感受性が低いが、DDVP、ホサロンに対して
感受性が高い。
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ホサロンに対して特異的に感受性が低い。
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全薬剤に対して感受性が高い。
c. エチオフェンカルプに対しては、ほぼ各採集地とも高い感受性を示した。しかし、
1985年には1,000倍液でもほとんどの地点で100%の死虫率であったが、1986年では
若干であるが生存虫が残る地点が多かった。
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現地試験(1987年)(表2)
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若美町角間崎では、PAP乳剤とエチオフェンカルプ乳剤は高い防除効果が認められたが、
DDVP乳剤は前記2剤より効果が劣り、ホサロン乳剤より勝った。ホサロン乳剤の効果が
劣ったのは、室内試験と同様の結果であった。
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十文字町植田では、PAP乳剤とエチオフェンカルプ乳剤は防除効果が比較的高かったが、
ホサロン乳剤、DDVP乳剤は効果が劣り、室内試験と同様の結果であった。
以上の結果から、シャーレを利用した室内試験結果は、現地での圃場試験の結果と
ほぼ同様な傾向が認められ、室内試験によって採集地における薬剤に対する感受性の
傾向が把握できる。
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技術・情報の適用効果
室内試験を実施することによって、薬剤に対する感受性の傾向が把握でき、薬剤を
選択をするにあたり参考にでき効率的な防除ができる。
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適用の範囲
秋田県全域
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普及指導上の留意点
[その他の特記事項]
研究課題名:園芸畑作物病害虫の発生生態と防除法の確立
キュウリのワタアブラムシの薬剤抵抗性簡易検定法
予算区分 :県単
研究期間 :1984~87年
発表論文等: