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ベノミル耐性イネばか苗病菌の分布拡大と防除対策
青森県農業試験場・環境部
岩手県立農業試験場・環境部
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
青森県及び岩手県の薬剤耐性イネばか苗病菌の分布を明らかにし、種子消毒による
防除対策を示した
(表1、表2、
表3、表4)。
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ベノミル耐性ばか苗病菌(最小生育阻止濃度:MIC値が1000ppmを越えるもの)は、青森県
では、昭和60年が49.5%、61年が3.9%、62年が35.9%であったものが、昭和63年に
87.7%、平成元年は81.1%と増加した。岩手県でも、昭和59年以降増加し、平成元年
にはMIC値1000ppm≦の検出頻度率が90%以上に達し、チウラム・ベノミル剤でも
十分な効果が得られない例が増加している。
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ベノミル耐性菌の分布状況は、青森県では昭和62年まで三戸郡で多かったが、
平成元年度には、全県的に大きな広がりをみせている。また、MIC値が2000ppmを
越える菌株も増加し、耐性化傾向が進んでいる。岩手県でも、耐性菌の分布はほぼ
県下全域に及び、ばか苗病の発生は、これまで少なかった県南部でも、目立って
きている。なお、岩手県では、目下のところEBI系薬剤に対する耐性菌は確認されて
いない。
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EBI系薬剤(トリフルミゾール剤、ペフラゾエート剤)は、ベノミル耐性菌及び感受性菌
いずれにも優れた防除効果を示す。現行の種子消毒剤(チウラム・ベノミル剤、
チウラム・チオファネート剤、キャプタン・チアベンダゾール剤)を使用した場合で、
ばか苗病の発生が多かったところでは、トリフルミゾール剤またはペフラゾエート剤を
使用する。
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技術・情報の適用効果
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ベノミル耐性イネばか苗病菌の分布状況が明らかになり、防除指導上の参考になる。
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ばか苗病防除対策に苦慮しているところで、効果的な種子消毒が可能となる。
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適用の範囲
ベノミル耐性菌の出現している地域。
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普及指導上の留意点
トリフルミゾール剤及びペフラゾエート剤は、苗の生育初期(播種後10日頃まで)に
草丈、根の伸長抑制が認められることがあるので、出芽後は適切な温度、水管理に
努める。
[その他の特記事項]
研究課題名:イネばか苗病菌薬剤耐性菌分布調査(青森)、病害虫防除法の改善(岩手)
予算区分 :国庫助成(病害虫発生予察事業)、県単(岩手)
研究期間 :昭和60〜平成元年(青森)、昭和61〜平成2年(岩手)
発表論文等:北日本病害虫研報38(1987):29-32、同41(投稿中)