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イチゴじゃのめ病の発生生態と防除法


宮城県園芸試験場・環境部・病害虫科
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. じゃのめ病は「麗紅」や「女峰」で多く発生し、「ダナー」では少ない。本病は 6月下旬から7月上旬で親株で発生し始め、それに伴いランナー上の苗にも病斑が 形成される。仮植後の苗では9月以降に急増する傾向を示す。
    2. 本病の潜伏期間は、25度Cでの接種試験及び圃場での調査結果から、主要発生時期では 15日から17日間であり、感染は出葉から展葉期に多く起こるものと考えられる。
    3. 本病は、仮植期間を雨よけのポット育苗で管理すると、発病を抑制できる。また、 この管理により輪斑病も同時に抑制できる。
    4. 病斑急増期のビテルタノール水和剤の散布は極めて防除効果が高く、マンゼブ水和剤 も有効である。
    図1. イチゴじゃのめ病の発生消長
    図2. 圃場におけるじゃのめ病発病日数
    表1. 育苗方法とじゃのめ病の発病
    表2. じゃのめ病の防除効果
  2. 技術・情報の適用効果
    1. じゃのめ病の発生時期、潜伏期間及び病斑急増期が明らかになったので、本病に対する 防除期間が明確になった。
    2. 防除は、耕種的な方法として雨よけにしたポット育苗が有効であり、薬剤では、 ビテルタノール水和剤の効果が高く、マンゼブ水和剤も有効である。ビテルタノール 水和剤は平成元年度に登録が認可され、すでに登録の有るマンゼブ水和剤と 組合せての使用が可能である。
  3. 適用の範囲
    「麗紅」「女峰」の栽培が多い地域
  4. 普及指導上の留意点
    1. じゃのめ病は比較的潜伏期間が長いので防除時期に注意するとともに、すでに発病が 認められる圃場での薬剤散布は、効果が現れるまでに日数を要するため、その期間に 多数回散布しないよう注意する。


[その他の特記事項]
研究課題名:イチゴじゃのめ病の発生生態と防除
予算区分 :県単
研究期間 :昭和61年〜63年
発表論文等:北日本病害虫研報38:45-47
      北日本病害虫研報40:50-51