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1卵採取による採卵牛の選定
山形県立畜産試験場・乳牛飼養部
[部会名] 畜産
[分科会名]
[分類] (1)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
採卵成功率を高め、多数の受精卵を安定して得られる効率的な採卵方法を確立する
ため1卵採取を行った結果、以下の知見が得られた
(表1)。
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過剰排卵処理(S.O.V.)する前に1卵採取することにより、供卵牛の良否の判定が
可能となり、採卵成績および採卵成功率を向上させることができる。
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1卵採取およびS.O.V.の手順は下記の通りである。
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供卵牛(黒毛和種)の発情日(0日)に直腸検査により卵胞を確認し、人工授精を行う。
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発情日翌日に、直腸検査により排卵を確認する。
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発情日から7日目に、黄体側の子宮角をバルーンカテーテルを用いて灌流し、
1卵採取を行う。
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1卵採取で正常卵の得られた供卵牛については、1卵採取後3日目からS.O.V.する。
S.O.V.は、3日間のFSH減量投与法(5mg 朝夕、4mg 朝夕、3mg 朝夕)で行う。
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発情誘起のため、S.O.V. 3日目にPGF2αを(朝 24mg、夕 12mg)計36mgを
投与する。
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PGF2α投与後、2〜3日後の授精適期に人工授精を行う。
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S.O.V.開始から12日目に採卵を行う。
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技術・情報の適用効果
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1卵採取の成功率は70.6%(12頭/17頭)であった
(表2)。
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1卵採取で正常卵の得られた供卵牛は、その後のS.O.V.においても良好な結果を
示したが、1卵採取で変性卵が回収された供卵牛および卵が回収されなかった
供卵牛では、以後のS.O.V.でも正常卵は得られなかった
(表1)。
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1卵採取後のS.O.V.と通常のS.O.V.の採卵成績は、回収卵数、正常卵数、正常卵率、
採卵成功率ともに、前者の方が良い成績を示した
(表2)。
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適用の範囲
県内一円
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普及指導上の留意点
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1卵採取の前の発情期の卵胞と排卵を確認する。
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採卵失宜により卵回収(1卵採取)できない場合は、以後の採卵成績の指標とはならない。
[その他の特記事項]
研究課題名:受精卵移植、人工多胎技術の実用化に関する研究
予算区分 :県単 一部国庫
研究期間 :昭和63年〜平成元年
発表論文等:第34回山形県獣医技術研修会