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接ぎ木によるわい性台リンゴ樹側枝の補充


青森県りんご試験場
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. わい性台樹の主幹部に6種類の方法で接ぎ木し、接ぎ木のしやすさ及び接ぎ木3年目の 生育状況を比較した(表1)。
    2. 1年枝(2芽)を接ぎ穂とし、主幹に対して上向きに接ぎ木する方法 (図のA)は、接ぎ木がしやすく、活着率も比較的 高く、接ぎ穂の生長はよいというよりはむしろ旺盛過ぎる傾向にあった。
    3. 1年枝(2芽)を接ぎ穂とし、主幹に対して下向きに接ぎ木する方法 (図のB)は、接ぎ木がしやすく、活着率も比較的 高いが、接ぎ穂の生長はやや弱い傾向にあった。
    4. 1年枝(2芽)を接ぎ穂とし、主幹に対して横向きに接ぎ木する方法 (図のC)は、活着率は高いが、接ぎ木がしづらく、 接ぎ穂の生長のばらつきも大きかった。
    5. 腋芽1個をつけた1年枝部、短果枝または中果枝1本をつけた2年枝部を接ぎ穂とし、 主幹にはめ込むように接ぎ木する方法 (図のD、E及びF)は、いずれも接ぎ木がやや しづらい上に、活着しても接ぎ穂の生長が悪く、側枝として利用可能な長さ50cm 以上の枝に伸長したものが少なかった。
    6. 以上の結果より、側枝補充のための接ぎ木方法としては、1年枝(2芽)を接ぎ穂とし、 主幹に対して上向き又は下向きに接ぎ木する方法 (図のA又はB)が有用と認められた。
  2. 技術・情報の適用効果
    わい化栽培園の実態調査を行った結果、収量は樹体構成要素の中では側枝本数と 最も高い関係にあることが明らかとなった。これまで側枝発出促進には目傷と ビーエー液剤散布を指導してきたが、これらの方法では健全な芽がない部位からは 枝を出すことができなかった。そこで、このような場合は接ぎ木によって側枝を 補充し、生産量の増大を図る。
  3. 適用の範囲
    リンゴ栽培地全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. 雪害を受ける危険のある部位及び樹勢が強めの樹では下向きに接ぎ木し、 樹勢が弱めの樹では上向きに接ぎ木する。
    2. 上向きに接ぎ木した場合は、新梢が立ち上がって旺盛に伸びる傾向があるので、 必ず誘引する。


[その他の特記事項]
研究課題名:接ぎ木による側枝の補充
予算区分 :県単
研究期間 :昭和61年〜平成3年
発表論文等:なし