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リンゴの乾物生産に対する着果程度の影響
果樹試験場・盛岡支場
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類] (3)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
従来、乾物生産に対する着果の影響は明らかになっていなかったが、M.9台利用
リンゴ樹では、葉の単位乾物生産(全乾物増加量/全葉乾物重)が着果程度
(全果実乾物重/全葉乾物重)に比例して直線的に増大することを明らかにした。
着果程度の増加によって葉の乾物生産能が高まることを示している。その増加の
程度は、‘ふじ’と‘つがる’両品種による差異はなく、両品種を合わせた場合の
回帰方程式(Y=0.73X+4.05)から、本試験では増加分のうち73%はこの乾物生産能の
高まりによってまかなわれていた(図1)。
残りの27%は、枝及び根の肥大伸長の減少によってまかなわれる。その場合、枝の
増加量は、着果が同じ程度の樹で比較すると、弱勢品種の‘つがる’では強勢品種の
‘ふじ’より少なかった。‘ふじ’に比べて‘つがる’は枝梢より果実に多く
同化養分が集まりやすいことを示している。‘つがる’のほうが樹がわい化しやすい
のはこのことも関係していると推察された
(図1)。
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技術・情報の適用効果
わい性台リンゴ樹では、着果量を増やしても必ずしも果実肥大に影響がみられない。
それには上述のような葉の乾物生産能の増加が関係していることが推察される。
また、樹をわい化させるためには着果程度が重要な働きをしていることを示す
基礎的資料としても利用できる。
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適用の範囲
全域
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普及指導上の留意点
特になし
[その他の特記事項]
研究課題名:わい性台リンゴ樹の生産構造の解明
予算区分 :経常
研究期間 :昭和61〜平成元
発表論文等: