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リンゴ、‘つがる’の着色促進剤MCPBの使用法


岩手県園芸試験場
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 本剤は落果防止剤として農薬登録されていたが、昭和63年12月、着色促進剤としても 登録認可された。試験の結果、促進作用は明らかであるが、収穫前落果防止及び 収穫時期等について留意すべき点が多いことが明らかになった。
      1. 収穫期は、収穫前の気象にも左右されるが、概ね7〜10日早まる。
      2. 本剤は着色促進剤として登録されているが、基本的には熟期を促進するものであり、 過熟の場合には硬度低下が著しい、収穫にあたっては、地色の変化に注意し、 軟化しないうちに収穫する(カラーチャート指数2以下)。
      3. 着色促進剤として使用した場合の使用回数は年間1回に限られるが、この場合落果防止 効果は収穫終了まで継続せず、収穫後半の落果が多くなる。このため、他剤との併用が 必要であり、本剤散布後、収穫開始予定日の15日前までに、ストッポール1,000倍を 散布する。
      4. 促進作用は斉一でなく、熟度の進みが早い果実と遅い果実との差が大きくなるので、 すぐりもぎを行う。
      表1. 時期別果実内容
      表2. 果実内容落果率及び収穫可能果率の推移
  2. 技術・情報の適用効果
    1. つがるの品種構成割合が多い園での収穫労力分散が可能となる。
  3. 適用の範囲
    1. 東北
  4. 普及指導上の留意点
    1. 高温時の散布は、新梢先端や若葉に黄変や萎縮等の薬害が発生することがあるため、 高温時の散布及び二度掛けはしない。
    2. 果実軟化の点から、全園一律な使用は控え、特に販売にあたっては過熟果が出荷 されることの無いようにする。


[その他の特記事項]
研究課題名:着色促進及び熟期斉一化剤など果実品質向上技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :昭和58年〜平成元年
発表論文等:なし