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脱渋用資材利用によるカキ‘会津身不知’の汚損果発生防止
福島県果樹試験場・会津試験地
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
福島県会津地方において古くから栽培されている会津身不知は、アルコール脱渋処理
によって果面汚損が発生する。これは、果実発育中に果皮クチクラ層の亀裂が
発生し、脱渋中の高湿度条件下において黒変化する。このことから、不要な水分を
取り除くことを主眼として、高分子吸水ポリマーを含むシート等4種類の資材
について検討した。
ア. 供試資材
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吸水シート
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Aタイプ:不織布(上面)とポリフィルム(下面)で吸水ポリマーを含む吸水紙を
挟んだもので、果実最上段に置くタイプ。
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Bタイプ:段ボール紙の下面を撥水処理し、そこに吸水ポリマーを含む吸水紙と
不織布を貼り合わせたもので、果実の段間に置くタイプ。
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中敷きフィルム
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ポリエチレン:ポリエチレンフィルム 0.02mm
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ビニロン:ポリビニルアルコールフィルム 0.03mm
その結果、ラミネートダンボール内で、不織布(上面)とポリフィルム(下面)に
吸水ポリマーを含む吸水紙を挟んだ吸水シートに、アルコール溶液を浸み込ませる
方法の実用性が認められた。また水分を投入しない粉末アルコールの実用性は
認められなかった。
表1. 脱渋処理後の果実品質
表2. 開封3日後の果実品質
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技術・情報の適用効果
果実に直接アルコールをふりかける慣行法に比べ、表皮の黒変、アルコール焼け等の
汚損果を抑制する効果が高い。
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適用の範囲
福島県下一円
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普及指導上の留意点
熟度の進み具合によっては、会津身不知特有の肉質が得られない場合があるので、
アルコール濃度及び使用量を検討する必要がある。また、熟度を揃えて処理を行う。
[その他の特記事項]
研究課題名:脱渋用新資材利用によるカキの黒変果発生防止対策試験
予算区分 :県単
研究期間 :昭和62〜63年
発表論文等:東北農業研究