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トルコギキョウの作期と育苗における仮植の要否


秋田県農業試験場・園芸畑作部・花き科
[部会名] 野菜・花き
[分科会名]
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 育苗中の仮植の有無が定植後の生育・開花・切花品質に及ぼす影響についての知見は 得られておらず、本県では主に仮植育苗が行われている。
    2. 無加温施設における9月・11月播種(秋まき)栽培では、定植が1月・2月の厳寒期 となるため、無仮植育苗では定植後活着不良による欠株が多発するが、仮植育苗 では少なく、さらに切花品質もまさることから、仮植育苗が採花率及び切花品質の 向上につながる。
    3. 1月・2月播種(春まき)栽培では、無仮植育苗で開花が早まり、切花品質も 良いことから、切花品質向上並びに育苗の省力化が期待できる。
    表1. 生育・採花状況及び収穫物
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 欠株の発生は仮植育苗より無仮植育苗で多かった。特に9月播種で多く、発生率は 仮植育苗が13〜17%であったのに対し、無仮植育苗が40〜65%であった。また、 無仮植育苗では11月播種で6〜24%、1月・2月播種で2〜4%の発生をみたが、11月以降 播種の仮植育苗では欠株の発生は全くなかった。
    2. 9月・11月播種(秋まき)では仮植育苗が2〜4日程度早まった。1月・2月播種(春まき) では仮植育苗より無仮植育苗で早まり、1月播種で2〜3日、2月播種で8〜9日の差と なった。
    3. 9月播種の収穫物は無仮植育苗で切花長の長い個体が多く、切花品質も仮植育苗より まさった。これは欠株が多発し、生存個体の生育が旺盛となったためで仮植の有無 による差はないものと考えられた。11月播種では仮植育苗、1月・2月播種では 無仮植育苗で切花品質がまさった。
  3. 適用の範囲
    県内全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. 定植前に苗のハードニングを十分に行う。
    2. 低温期の定植では保温が必要である。
    3. 仮植育苗は、育苗箱(30×50cm)に0.25ミリリットル程度(苗数800〜1,000本)播種し、 本葉2〜3枚時に3cm角程度に仮植を行う。
    4. 無仮植育苗では、育苗箱(30×50cm)に0.1ミリリットル程度播種し、2〜3cm間隔に 間引きを行い、最終的に300〜400本程度の苗数にする。


[その他の特記事項]
研究課題名:寒冷地における洋花類の気象生態並びに土壌水分反応特性の解明とその
      利用技術の確立
予算区分 :地域重要新技術開発促進事業
研究期間 :昭和62年〜平成元年
発表論文等:第33回東北農業研究(1990.7)