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スプレーギクの日長処理による作期拡大
宮城県園芸試験場・栽培部・花き科
[部会名] 野菜・花き
[分科会名]
[分類] (1)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
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品種はピンキーなど秋ギク型品種を用いる。
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7月中旬〜8月中旬咲き栽培は、シェード期間中の5月中旬から6月上旬に最低気温が
15度C以下で低いため、比較的花芽分化温度の低い品種でないと切り花生産が不安定
である。
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無加温パイプハウス栽培において、日長処理により8〜9月咲き、10月咲き、11月咲き
の切り花生産ができる。
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10月下旬より加温を行えば、12月咲き栽培も可能である。
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技術・情報の適用効果
スプレーギクは品種の豊富は洋風のキクで、花持ちが良く、アレンジメントに適し
近年需要が急増している。栽培は腋芽かきが不要で省力的であり、生育が早く、
日長処理により計画生産できる。
夏期冷涼な気象条件を生かし、パイプハウス利用の日長処理による8〜9月咲き栽培は
有利であり、更に10月咲き栽培、11月咲き栽培を行うことによって作期が拡大される。
また、10月下旬より加温を行うことにより12月咲き栽培も可能である。
図1. スプレーギクの作型
表1. 作型別切花品質
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適用の範囲
東北地方一円
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普及指導上の留意点
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採穂用親株、挿し芽から短日処理開始まで常に電照を行い、花芽分化を抑える。
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苗は挿し芽後2週間以内、根長2cm程度の時に定植し、摘心は定植10日前に行う。
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電照は、100w白熱灯を植物体の頂部から1.5mの高さに、10平方メートル当り1灯
取付け、午後10時から午前2時まで4時間の暗期中断電照を行う。
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電照打切りの目安は、展開葉数9枚前後、側枝長25cm前後である。
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シェードによる短日処理は、厚さ0.1mmのシルバーポリを用い、午後6時から午前6時
まで被覆して12時間日長とする。9月中旬から3月中旬までの短日条件下では、電照を
打切り自然日長とする。
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短日処理開始後花芽分化期に当たる3週間は最低気温15度C以上に保つ。秋期は
二重カーテンを付設するかシェードを利用して保温し、12月咲き栽培は10月下旬から
加温が必要である。日中は25度Cを目安に換気する。
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施肥量は10a当りN成分で15kg以内とする。
[その他の特記事項]
研究課題名:寒冷地における洋花類の気象生態並びに土壌水分反応特性の解明とその
利用技術の確立
予算区分 :地域重要新技術
研究期間 :昭和63年〜平成元年
発表論文等:第32回東北農業試験研究発表会