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昆虫成長制御系殺虫剤の蚕に及ぼす影響
岩手県蚕業試験場・環境部
[部会名] 蚕糸
[分科会名]
[分類] (2),(4)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
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キチン合成阻害剤や幼若ホルモン剤などの昆虫成長制御剤は、農作物の害虫防除剤や
衛生害虫のハエ防除剤として開発・普及され、年々使用量が増加している。
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これらの薬剤は蚕に対する影響が大きく、通常の使用法で90日から120日以上にわたって
残留毒性がある(キチン合成阻害剤のうちブプロフェジンは無害)。
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蚕の中毒症状は、次の通りである。
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ジフルベンズロン、クロルフルアズロン及びデフルベンズロン(キチン合成阻害剤)…
皮膚裂傷、不脱皮
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メトプレン(幼若ホルモン類縁化合物)…軟化、幼虫期間延長
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キチン合成阻害剤は浸透移行性がなく、薬剤散布後に展開した葉は蚕に給与できる。
図1. キチン合成阻害剤の残留毒性
表1. SKI-8503乳剤の50%致死濃度
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技術・情報の適用効果
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昆虫成長制御剤の養蚕地帯での使用規制を行政施策に反映させる。
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養蚕関係者に周知させ、自衛手段を取らせることができる。
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適用の範囲
県下全域
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普及指導上の留意点
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ジフルベンズロン(デミリン水和剤)、クロルフルアズロン(アタブロン乳剤)及び
デフルベンズロン(ノーモルト乳剤)は果樹・野菜等に登録されており、桑園周辺での
使用の有無を確認する。
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ジフルベンズロン(デミリン水和剤)やメトプレン(アルトシッド10F)は家畜糞、鶏糞の
ハエ防除に使用されるため、桑園に鶏糞等を施用する場合には使用の有無を確認する
(鶏糞等の薬剤使用歴調査、添食試験等)。
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これらの薬剤を使用した容器は洗浄後1ヵ年経過しても、蚕に対して毒性が認められる
ことから、養蚕用には使用しない。
[その他の特記事項]
研究課題名:難防除病害虫の省力安全防除技術
(2)新薬剤の効果と蚕への残毒
予算区分 :県単
研究期間 :1981年〜
発表論文等: