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桑の株下げ樹形改造の冬期処理



岩手県蚕試・採桑部

[部会名] 蚕糸

[分科会名]

[分類]  (2)


[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 既設普通桑園を株下げ密植桑園に転換する場合の株下げ樹形改造作業は、 一般に春の融雪後に行われているが、この時期は農作業の繁忙期であるので、 当該作業の処理時期を11月・12月・2月・3月・4月に設定して、農閑期の 冬期間処理について検討した。
    2. 樹勢:健全株割合はいずれの処理時期も90%以上を示し、発育不良株には処理時期 による一定の傾向がみられなかったが、不発芽株では11月・12月処理が他の処理時期 より少なかった(表1)。
    3. 枝条構成:初秋蚕期の枝条長は2月・11月処理が他の処理時期より短く、枝条数では 11月・12月処理が他の処理時期より少なかった。総条長は処理時期が遅い程長い 傾向にあった(表2)。
    4. 収葉量:初秋蚕期・晩々秋蚕期とも11月処理が他の処理時期に比べ少なかった (表3)。
    5. これらのことから、12月以降の処理は春期融雪後の処理と大差ない樹勢更新効果が 得られた。
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 春の繁忙期の労働競合を軽減し、一連の春期桑園管理作業と畦間補植作業の 適正実施が容易になる。
    2. 既設普通植桑園の密植化技術の普及・拡大が促進される。
  3. 適用の範囲
    県内少雪地域
  4. 普及指導上の留意点
    11月までの株下げ樹形改造処理は、12月以降の処理に比べ枝条の発生や伸長が やや劣り、収穫量も減少するので処理は12月以降に実施する。



[その他の特記事項]

研究課題名:機械収穫を前提とした既設桑園の密植化

予算区分 :県単

研究期間 :昭和63年〜平成元年

発表論文等:東北蚕糸研究報告第14号(1989)

      岩手蚕業試験場要報第13号(1990)