研究所トップ≫研究成果情報≫平成元年度
転換畑への兼用型ソルガム「スズホ」の導入
岩手県畜産試験場・草地部
[部会名] 地域水田農業
[分科会名]
[分類] (1)
-
[成果の内容]
-
技術・情報の内容及び特徴
岩手県における転作作物の中で飼料作物は転作面積の58%を占めているが、その
生産は、全般に低収で有効利用も十分図られていない。最大作物は有効活用される
度合いが高いが、繁殖牛では高カロリーとうもろこしだけに頼らず、
良質繊維質粗飼料の生産・供与が必要となってきている。したがって、稲作との
労働力が競合することなく、耐湿性があり、青刈及びサイレージ利用が可能である
長大作物・ソルガムの優良品種が求められている。
これらのことから、現地実証を行い、耐倒伏性に優れ、播種・刈取適期幅が広く、
多様な利用法が可能であり、農家に受け入れ易い優良品種として「スズホ」を
選定した。
-
「スズホ」の特性
-
早生種の中では最も耐倒伏性が強く、また、兼用型としては多収であった。
-
遅播適応性があり、田植並びに1番草刈取作業終了後に播種しても十分糊熟期に達し、
乾物収量1.4t/10aが可能であった。
-
利用方法が多様であり、出穂期(8月中旬)以降から強い降霜(11月)までの青刈利用、
糊熟期(9月下旬)以降からサイレージ利用が可能であった。
表1. 水田転換畑におけるソルガムの生育・収量成績
表2. 播種期の違いによるソルガムの生育・収量成績
表3. 収穫時期の異なったソルガムサイレージの発酵品質
-
技術・情報の適用効果
播種・刈取適期が広いため稲作と労働力が競合しない。発芽時点及び登熟期に鳥害を
受けることはない。サイレージ調製が気象条件やサイロ容量・労力等から困難な時は、
青刈利用が可能であり、しかも嗜好性が良い。
-
適用の範囲
県下全域
-
普及指導上の留意点
種子は一代雑種なので自家採種利用はできない。栽植密度は20,000本/10a程度が
望ましく、生育開始温度(約15度C)に合わせた播種時期を設定する。播種時には
種子消毒剤を粉依する。また、調製したサイレージは黒毛和種(繁殖牛)給与
であれば、乾草・フスマ等を補うと1日1頭当り16kg程度可能である。
[その他の特記事項]
研究課題名:汎用化水田における飼料生産・流通技術の確立
(ア)乾草用及びサイレージ用優良品種の選定(ソルガム)
予算区分 :特研
研究期間 :昭和63~平成2年度
発表論文等:なし