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共同育苗施設の効率的利用方策と展開条件
秋田県農業試験場・経営部・経営科
[部会名] 総合農業
[分科会名]
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
県内の水稲共同育苗施設は、最近施設数の減少、利用率の低下の傾向がみられる。
しかし共同育苗施設は、稲作コストの低下や地域農業振興の拠点施設として重要な
役割を持っている。そこで水稲共同育苗施設利用の問題点と改善方法を明らかにする。
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集団有施設の多くは、集落農場化事業によるもので、施設の老朽化、経営規模の
大きい農家の離脱、受託農家の増加など組織再編期を迎え、利用率が低下している。
現在利用率が高い施設は、組織リーダーの交替、若返りなどによって組織体制が
確立している集団である。
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組織体制が整備されている集団でも、転作面積の拡大で、利用率が低下する。
従って、員外利用(育苗受託)の増加が重要となるが、このためには農協の斡旋機能が
強化されなければならない。
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員外利用を拡大している集団では、苗質の向上を目指し、常に研修が行われている。
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共同育苗施設利用の健全化のためには、会計、作業日誌の記帳、分析が重要で、
活発な集団では、これに基づくコスト低下対策、他集団との比較分析が行われている。
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水稲共同育苗施設は、野菜、葉タバコ育苗との共同利用も可能である。しかし、
必ずしもこの共同利用は多くない。ミニライスセンターなどと共に、地域農業の
拠点施設としての機能を強化させる必要がある。
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農協有の施設は、利用率の低下をカバーするためにも苗供給にとどまらず地域の
条件に合わせて育苗土の販売、種籾催芽の受託、田植までの一貫受託化などの対応が
必要となる。特に、大型施設の場合には、農協管内にとどまらず域内・外の育苗受託を
含めた利用計画が必要となる。
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技術・情報の適用効果
水稲共同育苗施設の組織再編の方向、利用率向上対策が明かにされることによって、
稲作生産のコスト低下や、利用共同の拡大による地域農業の複合化が強化される。
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適用の範囲
県内一円
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普及指導上の留意点
特になし
表1. 施設の増減・内訳
表2. 調査対象施設の特徴・問題点
図1. 施設の能力、稼動実績
[その他の特記事項]
研究課題名:北東北積雪水田地帯の水田輪作体系における機械・施設の
効率的利用技術の確立
予算区分 :特定研究開発
研究期間 :昭和63〜平成元年
発表論文等:なし