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水稲の苗の種類の組合せによる作期拡大


岩手県立農業試験場・技術部・水田作科
[部会名] 総合農業
[分科会名]稲
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    播種量の異なる苗の特性を明らかにし、それらの苗を組み合わせて移植期を拡大 することができる。
    1. 播種期による苗の特性
      1. 苗の移植可能最小日数
        苗マットの形成からみた移植可能な育苗最小日数は、稚苗(播種量200〜160g)で 15〜20日、中苗(播種量140〜80g)で25〜30日、成苗(播種量120〜60g)30〜35日 である。ただし、苗取り板を使用する場合には稚苗で10〜15日、中苗で20〜25日、 成苗で25〜30日となる(表1)。
      2. 苗の草丈
        通常の管理で育苗した場合に、苗の草丈が10cm前後になる育苗日数は、稚苗育苗で 15日前後、中苗育苗で25日前後、成苗育苗で30日前後で、播種量による差はほとんど 見られない。
      3. 苗の移植可能な最大日数
        苗の移植可能な最大日数は、稚苗で25〜30日、中苗で35〜50日、成苗で45〜60日である (表2)。
    2. 移植期と出穂期(滝沢:あきたこまち)
      滝沢のあきたこまちの場合、稚苗では、移植早限(5月12日)から5月20日頃まで 移植可能である。中苗では移植早限から5月25日頃まで移植可能である。成苗では、 移植早限から5月末まで移植可能である(図1図2)。
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 播種量を変えることで移植作業ピークを崩すことができる。
    2. 同一品種を作付しても、ある程度の危険分散及び規模拡大も可能となる。
  3. 適用の範囲
    岩手県内のササニシキ、あきたこまち、たかねみのりの栽培地帯
  4. 普及指導上の留意点
    1. 各育苗法の播種期は、育苗時期・場所によって異なる。
    2. 育苗日数が長くなる場合は、苗の生育を見て適切な追肥などの管理が必要である。
    3. 特殊な栽培法では当てはまらない。また、同一栽培法でも、移植時の苗の葉齢によって 出穂期が異なる。
    4. 予想出穂期は平年を想定しているので、利用する場合は年次変動を考慮する。


[その他の特記事項]
研究課題名:生育予測、栄養診断に基づく対応技術の確立
      苗の作期毎の生育予測法の確立
予算区分 :県
研究期間 :昭和59年〜平成2年
発表論文等: