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柱頭観察による水稲冷害不受精の早期判定法
青森県農業試験場・藤坂支場
[部会名] 総合農業
[分科会名]稲
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
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開花終了後1〜2日以上経過した穂について、頴花を手で開頴しピンセットで柱頭を
傷つけないように取り出し、40倍程度の顕微鏡または虫めがね等で柱頭の状態を
観察する。
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柱頭の基部付近が萎凋したり、折れたりしている場合は受精籾と判定する。
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柱頭の部分に殆ど変化が見られない場合は、不受精籾と判定する。
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子房がある程度肥大している場合でも、柱頭が萎凋していない場合は不受精籾
(単為結果籾、偽稔)と判定する。
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この判定方法に習熟すると、子房を抽出しなくても開頴後虫めがねで観察するだけで
判定ができるようになる。
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判定の根拠: 不受精籾が殆ど発生しない条件下で生育させた穂について、開花終了後
経時的に柱頭を観察したところ、開花翌日には柱頭の基部付近が萎凋したり、折れたり
しているのが観察された。一方、完全不受精を発生させるほどの強度の低温処理した
穂について、同様に柱頭を観察したところ、開花後数日たっても柱頭は変化せず、
この状態は長期間続いたことから、開花後の柱頭の状態を観察することにより受精の
有無が早期に発見できることが明らかになった。
図1 受精及び不受精籾の柱頭
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技術・情報の適用効果
障害不受精の早期判定が可能となることから、被害の早期把握と冷害対策
(技術、農政、経営等)のすみやかな対応ができる。
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適用の範囲
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穂ばらみ期、開花期のいずれの障害不受精に対しても有効である。
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単為結果籾(偽稔籾)の判定も可能である。
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普及指導上の留意点
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開花終了当日が異常低温等で開花が不順であった場合は、開花翌日ではなく更に
1日おいて調査する。
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適温下で開花した場合でも、翌日の早朝ではなく、午後に調査する。
[その他の特記事項]
研究課題名:柱頭観察による水稲障害不稔の早期判定法
予算区分 :県単
研究期間 :1988年〜1989年
発表論文等:日本作物学会東北支部会報 第33号('90)