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岩手県中北部の水稲主要品種の刈取適期の推定


岩手県立農業試験場・技術部
[部会名] 総合農業
[分科会名]稲
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 従来の積算気温に日照時間、稔実籾数を加味し青未熟粒歩合を推定することによって 刈取時期早限の推定精度が高まる(図1図2)。
    2. 刈取適期の早限はほとんど青未熟粒歩合によって決まる (図3、図4、図5)。
      1等目標の場合:青未熟粒歩合は10%以下
      2等目標の場合:青未熟粒歩合は20%以下
    3. 青未熟粒の推定式は以下の通りである。

      ΣT : 出穂後x日より積算を開始した平均気温積算温度(度C)
      ΣDL: 出穂後x日より積算を開始した日照時数積算時間(hr)*
      *:太陽電池式日照計による
  2. 技術・情報の適用効果
    刈取時期の判定には従来より出穂後の平均気温積算温度が用いられてきた。しかし、 異常気象年において日照、稔実籾数等に大きく変化があった場合、積算気温のみでは 誤差が大きく、実用性に問題が生じており、日照等を考慮に入れる必要があると 考えられた。そこで、平成元年度及び昭和63年の本方法による刈取適期の推定を 行ったところ、従来の積算気温または観察による適期判定より制度が高いことが 明らかになった。よって、日照不足及び障害不稔の異常気象年に刈取時期を判断する 基準をもうけ、県産米の品質向上をはかる。
  3. 適用の範囲
    岩手県中北部
  4. 普及指導上の留意点
    1. これは異常気象年に対応したものなので、日照と稔実歩合が平均並みの場合は 従来の積算気温を使用しても差し支えない。
    2. これは青未熟のみの推定なので、刈取適期の判定には被害粒等も加味すること。
    3. 推定式は滝沢の平年気象により作成したものなので、他の地域では平年の登熟状況も 勘案して使用すること(図1、2を参照すること)。
    4. この推定は普通栽培のもので、極多肥栽培等の特殊な栽培法には適用しない。


[その他の特記事項]
研究課題名:有望品種系統の栽培特性(1)主要品種の刈取期拡大による品種間差
予算区分 :県
研究期間 :昭和54年〜平成2年
発表論文等: