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分光反射率による水稲生育量のリモートセンシング法


東北農業試験場・生産工学部・生産システム研
[部会名] 総合農業
[分科会名]稲
[分類]  (3)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    近距離でのリモートセンシング法として、ポータブルフォトメーターを用い、 可視からの近赤外域の6波長の分光反射率を測定することにより、 水稲生育量の把握が可能である。
    1. 移植後3週間から収穫前までの分光反射率に対して主成分分析を行うと、 第1軸が近赤外域の反射率、第2軸は可視域の反射率が主成分となる曲線が得られる (図1)。また、出穂前までの乾物重と第1主成分との 間には高い相関がある(図2)。これらの結果より 分光反射率によって品種間差や生育量の推定が可能である。
    2. 収穫前1週間前後の分光反射率より、バイオマス推定に有効とされている 反射率比演算値と収量との相関を見ると、アキヒカリでは反射率比演算値との 高い相関があるが、あきたこまちでは相関が見られない (表1)。その要因としては草形の違いが考えられ、 品種により測定方法を変える必要がある。アキヒカリについては550,675,800,1050nm の反射率を用いたものが収量推定に有効な指標となりうる。
    3. 分光反射率測定値を比較するには、測定時の日射量による誤差が問題となり、 そのため補正式を求めた。この補正式による補正効果は、特に近赤外域の 850〜1050nmで反射率の増大する8月以降で大きい (表2)。
  2. 技術・情報の適用効果
    非接触で圃場における水稲生育量の把握や収量の推定する方法として有効である。
  3. 適用の範囲
    東北全域。ただし、品種によっては収量の推定が出来ない場合がある。
  4. 普及指導上の留意点
    測定時の日照条件の変動に対応するための補正式を作成したが、測定には 晴天時を選ぶことが望ましい。
    また、収量の推定では測定方法などの改善が必要である。


[その他の特記事項]
研究課題名:ヤマセ地帯における水稲の生育診断・栽培技術システムの開発
予算区分 :昭和61年〜平成2年
研究期間 :経常
発表論文等:なし