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塩基飽和度、塩基バランスを基本とした土壌養分総合管理


岩手県立農業試験場・環境部・土壌改良科
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 養分過剰集積回避、高生産性維持のための土壌管理は、塩基飽和度および 塩基バランスを基本に行うこととする。なお、作物の生育適正pH区分ごとの土壌中の 塩基類の管理は下表のとおりとする。
    2. 塩基飽和度・塩基バランスを基本とした土壌管理における土づくり肥料施用量の処方
      1. 計算に必要な分析項目
         pH(H2O)、塩基交換容量(CEC)、可給態リン酸(トルオーグ法)、リン酸吸収係数
         交換性石灰、交換性苦土、交換性カリ、仮比重
      2. 資材施用量算定手順
      図1 資材施用による交換性塩基の富化
      表1 土性、土色とCECの関係
      表2 土性、土色と仮比重の関係
  2. 技術・情報の適用効果
    従来の処方技術に比べ、(1)リン酸資材併用による塩基類富化が防止される、 (2)塩基類の好適量が土壌ECなどの影響を受けずに確保することができる、 (3)塩基バランスが好適に維持される、(4)トータルとしての土づくり資材の施用量が 低減できるなどの効果が期待される。
  3. 適用の範囲
    圃場の一筆管理に適用する。
  4. 普及指導上の留意点
    1. 本法による土壌管理は、土壌養分の供給力を高め、維持するものであり、作物に養分を 直接的に供給するものではない。したがって、土づくり肥料は持続性のある ク溶性成分の多いものを選択することが望ましい。また、その場合には、ク溶性成分を 水溶性成分と比較した肥効を考慮する必要はない。
    2. 中性リン酸資材とは石灰、苦土を含まないリン酸資材をさす。アルカリ度の保証のない 資材は「重焼リン」であるが、実際には約10%程度の石灰を含有するので、 資材計算時には考慮すること。


[その他の特記事項]
研究課題名:土壌診断手法の開発と診断システムの実用化
      (土壌診断処方システムの実用化)
予算区分 :県単
研究期間 :昭和62年〜平成2年
発表論文等:なし