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腐熟促進肥料利用による稲わら分解促進と促成堆肥製造法


古川農業試験場、宮城県農業センター
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 稲わら腐熟促進肥料の施用法
      1. 鋤込む稲わら量は60Kg/a(生産量のほぼ全量)とし、秋(年内)に鋤込む。
      2. 施用する腐熟促進肥料
        「わら腐熟促進肥料」
        (成分:全窒素12.5%、く溶性りん酸12.5%、く溶性苦土 8.0%)
      3. 施用量
        透水性が良く地下水位の低い酸化型の乾田では4Kg/a程度とし、やや排水が悪く 土壌の種類がグライ土等の圃場では2Kg/a程度とする。
      4. 基肥窒素施用量は慣行栽培並とする。
      5. 腐熟促進肥料施用区は慣行区に比較して、分げつ最盛期頃のガス発生量が少なくなり、 地力窒素発現時期が改善される。
    2. 促成堆肥製造法
      1. コンバイン収穫後の稲わらに腐熟資材を添加堆積することにより、概ね2ヶ月間で 堆肥の製造が可能である。
      2. 施用する腐熟促進肥料及び施肥量・施用方法
        1. 腐熟促進肥料は上記Aに同じ。
        2. 稲わら500Kgに対して腐熟促進肥料現物35Kgを添加する。
        3. 稲わらは5等分して5段に堆積し、各段の上部に5等分量の腐熟促進肥料を施用し、 水1000リットルを灌水する。
      3. 腐熟促進肥料添加の場合は、石灰窒素添加に比較して、乾物減少がやや速やかに進む。 堆肥の成分は、窒素濃度が石灰窒素添加に比較して少ない傾向となるが、C/N比では 大差が無い。苦土、燐酸の濃度は石灰窒素添加の場合よりも数倍高くなる。
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 1. 稲わら鋤込みによる土壌強還元、窒素飢餓、生育中・後期の過剰な土壌窒素発現等が 軽減され、慣行(本資材無施用)に比べて多収となる。
    2. 1. コンバイン収穫後の稲わらの堆肥化による有効利用が促進される。
  3. 適用の範囲
    県下一円
  4. 普及指導上の留意点
    1. 排水不良水田では稲わら分解が遅れ、翌春の残存アンモニア態窒素量が 過剰となるので、施用量を2Kg/a程度までに減ずる。
    2. 堆肥の窒素濃度が、石灰窒素添加の場合よりも若干低い点を考慮した施肥設計を 立てる。


[その他の特記事項]
研究課題名:古川農試  :腐熟促進資材の施用法
      農業センター:新資材、肥料の特性と肥効に関する試験
             3)腐熟促進肥料添加による促成堆肥製造試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成2年
発表論文等:平成3年度普及に移す技術