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水稲のコバネイナゴの発生推移と防除適期


青森県農業試験場・環境部
[部会名] 総合農業
[分科会名]生産環境
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. コバネイナゴの発生推移
      1. ふ化の推移:ふ化は6月第1半旬から始まり7月第2〜3半旬まで続いた (図1)。
      2. 野外での1齢幼虫の推移:6月第1〜3半旬から発生が確認され、8月第2〜3半旬まで みられた(図1図2)。
      3. 水田への侵入時期:若齢幼虫は主に畦畔雑草地で生活し、水田に侵入することは 少なかった。幼虫の成育が進むにつれて、水田に侵入する個体が多くなるので、 齢構成からみると水田に侵入している個体のほうが成育が進んでいた。各調査時期の 全すくいとり個体数に対する水田内個体数の比率が急激に高くなるのは7月末〜8上旬 であり、この時期から水田内に侵入するものと考えられた (図3)。
      4. 成虫の発生時期:成虫の羽化は7月6半旬頃から始まるが、成虫の比率が幼虫のそれより 高くなるのは8月後半以降であった。
    2. 防除適期と防除法
      1. 出穂期前後の防除:この時期は多くの病害虫の同時防除時期であり、本種に有効な 殺虫剤成分(ピリダフェンチオン、イソキサチオン、BPMC)を含む殺虫・殺菌混合剤を 選択して、他の病害虫と同時防除する。
      2. ふ化終期防除:本種の発生量が多い場合には、水田内部への侵入が本格化する前の ふ化終期に本種を対象とした単独防除を行う。この時期では多くの幼虫が畦畔雑草地で 生活しており、水田に侵入している場合でも畦畔際にとどまっている個体が多く、 水田中央部にまで侵入している個体は少ない。したがって、ふ化終期に防除 するのであれば水田全体に薬剤を散布する必要はなく、畦畔雑草地と水田内の畦畔際 2〜3mに薬剤を散布するだけで、十分な防除効果が得られる。
  2. 技術・情報の適用効果
    コバネイナゴの防除適期と防除方法を示すことにより、効率的な防除が期待できる。
  3. 適用の範囲
    青森県全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. コバネイナゴは圃場間の移動が活発なので、広域一斉防除をしなければ実効が あがらない。
    2. コバネイナゴのふ化終期は年次により若干変動するので、その判定には注意を 要するが、畦畔にふ化幼虫がみられ始めた1か月後を目安にするとよい。


[その他の特記事項]
研究課題名:病害虫発生予察試験
      コバネイナゴの効率的防除法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :昭和63〜平成2年
発表論文等:なし