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特産果樹マルメロの生産安定技術


秋田県果樹試験場・鹿角分場
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    マルメロ‘在来種’は、若木時代(樹齢約10年未満)の生理落果がひどく、また、 ‘スミルナ’は、近年市場出荷したものに内部褐変がみられ、返品されるケースが 相次など大きな問題を抱えている。このため、これらの防止対策について検討した。
    1. 生理落果防止対策
      ジペレリン(GA3)を満開20日後に200ppmの濃度で幼果全体にハンドスプレーで処理し、 生理落果を軽減することが出来た。
    2. 内部褐変防止対策
      収穫前の内部褐変発生率は、スミルナやチャンピオンで高く、在来種やDoueで 低かった。
      有袋果は無袋果に比べて内部褐変の発生が少なく、遮光程度が高まるにつれて褐変は 抑制された。
      収穫時期の比較では、収穫が遅くなるほど内部褐変率が高まる傾向がみられた。
      収穫期となる10月において、有袋果(KM-2袋)の果色は無袋果に比較し約2週間 進んでいることが確認された。
    図1 マルメロの落果におよぼす各処理の影響
    図2 スミルナの収穫時期別内部褐変程度
    図3 有袋処理がスミルナの内部褐変に及ぼす影響
    図4 マルメロの時期別内部褐変程度
    図5 有袋処理がスミルナの果色に及ぼす影響
  2. 技術・情報の適用効果
    これまで‘在来種’は、ある程度の樹齢を経なければ安定生産が望めなかったが、 GA3の散布により若木時代から生産量を高めることが可能となる。
    また、内部褐変については、有袋処理により果色を向上させ、収穫期を10月5〜10日頃 まで前進させることにより、抑制することができる。
  3. 適用の範囲
    県内全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. 生理落果防止
      若木時代は強剪定をさけ、樹勢を安定させる。
      人工授粉を行ない、結実率を高める。
    2. 内部褐変防止
      果実の利用目的(生果または加工)に応じて被袋の有無を選択する。


[その他の特記事項]
研究課題名:特産果樹の栽培法改善試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成1年〜平成5年
発表論文等:東北農業研究第42号(生理落果関係)