研究所トップ≫研究成果情報≫平成2年度
特産果樹マルメロの生産安定技術
秋田県果樹試験場・鹿角分場
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類] (2)
-
[成果の内容]
-
技術・情報の内容及び特徴
マルメロ‘在来種’は、若木時代(樹齢約10年未満)の生理落果がひどく、また、
‘スミルナ’は、近年市場出荷したものに内部褐変がみられ、返品されるケースが
相次など大きな問題を抱えている。このため、これらの防止対策について検討した。
-
生理落果防止対策
ジペレリン(GA3)を満開20日後に200ppmの濃度で幼果全体にハンドスプレーで処理し、
生理落果を軽減することが出来た。
-
内部褐変防止対策
収穫前の内部褐変発生率は、スミルナやチャンピオンで高く、在来種やDoueで
低かった。
有袋果は無袋果に比べて内部褐変の発生が少なく、遮光程度が高まるにつれて褐変は
抑制された。
収穫時期の比較では、収穫が遅くなるほど内部褐変率が高まる傾向がみられた。
収穫期となる10月において、有袋果(KM-2袋)の果色は無袋果に比較し約2週間
進んでいることが確認された。
図1 マルメロの落果におよぼす各処理の影響
図2 スミルナの収穫時期別内部褐変程度
図3 有袋処理がスミルナの内部褐変に及ぼす影響
図4 マルメロの時期別内部褐変程度
図5 有袋処理がスミルナの果色に及ぼす影響
-
技術・情報の適用効果
これまで‘在来種’は、ある程度の樹齢を経なければ安定生産が望めなかったが、
GA3の散布により若木時代から生産量を高めることが可能となる。
また、内部褐変については、有袋処理により果色を向上させ、収穫期を10月5〜10日頃
まで前進させることにより、抑制することができる。
-
適用の範囲
県内全域
-
普及指導上の留意点
-
生理落果防止
若木時代は強剪定をさけ、樹勢を安定させる。
人工授粉を行ない、結実率を高める。
-
内部褐変防止
果実の利用目的(生果または加工)に応じて被袋の有無を選択する。
[その他の特記事項]
研究課題名:特産果樹の栽培法改善試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成1年〜平成5年
発表論文等:東北農業研究第42号(生理落果関係)