研究所トップ研究成果情報平成2年度

ブドウ新梢伸長抑制剤マレイン酸ヒドラジド液剤の使用方法


岩手県園芸試験場大迫試験地
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    本剤(商品名「エルノー」、以下C-MH)は昭和63年12月、徒長枝伸長抑制剤として ブドウに適用拡大登録されたものである。確実かつ省力的に新梢の徒長を抑制できることから、 その効果と併せて使用上留意すべき点について明らかにした。
    1. 使用方法
      1. 使用倍率(散布量)等
        200倍液(200リットル/10a)立木全面散布する。
      2. キャンベルアーリーでは果実・枝の登熟に必要な葉枚数確保時から収穫21日前または 収穫後に、紅伊豆では必要葉枚数確保時でかつ着色始期以降収穫21日前または収穫後に、 一回散布する(繰り返し散布しない)。
        これより早い時期に散布すると、熟期遅延や果粒肥大抑制などを招く恐れがあるので、 使用時期を厳守する(着色始期以降も果粒の肥大が進む紅伊豆ではとくに注意が 必要である)。
    2. 効果の発現経過
      1. 散布後約1週間で新梢先端が枯死脱落し、以後新梢伸長が停止する
    表1 キャンベルの生育・果実品質に及ぼすC-MH散布の影響
    表2 紅伊豆の生育に及ぼすC-MH散布の影響
    表3 紅伊豆の果実品質に及ぼすC-MH散布の影響
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 新梢の遅伸び・徒長を防ぐことにより、養分の余分な消耗が抑えられるため、 貯蔵養分増加や芽の充実が図られる。また果実品質(糖度・着色)の向上も期待できる。
  3. 適用の範囲
    岩手県内
  4. 普及指導上の留意点
    1. 花振い防止を目的とした開花前散布についても、花穂の伸長や果粒の肥大を阻害するので、 あくまで遅伸び防止を目的として使用する。


[その他の特記事項]
研究課題名:大粒種等の省力多収技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1986年〜1990年
発表論文等:第33回東北農業試験研究発表会(一部発表)