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モモ灰星病防除におけるスピードスプレーヤー散布法の改善
福島県果樹試験場 病理昆虫部
[部会名] 果樹
[分科会名]
[分類] (2)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
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スピードスプレーヤー(SS)の走行条件と散布量を変えた試験では、SSの並行走行
(散布量200リットル/10a)での果面の薬剤付着割合は43%、同じ並行走行で散布量を
300リットル/10aにした場合は47%、さらに同じ条件で夏期剪定をした場合には52%と
なった。SSを縦横に走らせる井桁走行では83%となり、手散布(400リットル/10a)の
73%を上回った。
(表1)
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ほ場におけるモモ灰星病に対する防除効果をSS散布(並行走行、散布量300リットル/10a)と
手散布(散布量400リットル/10a)とで比較した。モモ灰星病の収穫7日後の発病果率は、
SS散布が9%、手散布が2%であり、SS散布区の防除効果が劣った。
(表2)
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SSの走行方法および散布量の違いによる防除効果への影響について試験した。モモ灰星病の
収穫8日後の発病果率は、SSの並行走行(散布量200リットル/10a)で9%、同じ並行走行で
散布量を300リットル/10aにすると3%、井桁走行(散布量400リットル/10a)では
0%であった。
(表3)
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モモ灰星病を安定的に防除するためには、SSの散布方法を工夫する必要があり、
井桁走行で10a当たり400リットル散布が望ましい。
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技術・情報の適用効果
SS防除での散布むらの発生が、灰星病防除効果の低下を招いていることが明らかとなった。
SSの走行方法や散布量の違いによって、防除効果が異なった。果樹の病害虫防除でSSを
使用する場合には、走行方法を井桁にしたり、樹冠の内部まで薬剤が到達するような
樹形にすること、また散布量を多くすることが防除効果を高めると考えられる。
これらの対策により、病害虫の発生が少なくなることから生産の安定が期待できる。
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適用の範囲
SS防除を実施している全国のモモ栽培地帯全域
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普及指導上の留意点
SSを用いてモモ灰星病の防除を実施する場合には、散布量や走行方法を変えて、散布むらが
少なくなるようにする。またSS防除に適した植栽を行うことも大切である。
[その他の特記事項]
研究課題名:薬剤散布回数の削減による省力的新防除技術の確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :昭和63年〜平成4年
発表論文等:普及に移す成果 第26号(福島県農林水産技術会議刊)