研究所トップ研究成果情報平成2年度

短繊維用原料繭の新規用途向け素材評価


福島県蚕業試験場
[部会名] 蚕糸
[分科会名]
[分類]  (2)・(4)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    太繊度蚕品種繭および生糸の吸湿性、染色性さらに短繊維生糸(スパンロウシルク)の 繰糸法と力学的性質について検討し、スパンロウシルクを素材とした製品の試作を 試みた。 (図1)
    1. 短繊維用原料繭としての太繊度蚕品種「ありあけ」の繭糸は「さきがけ」の繭糸より 内部表面の極性基が多く、しかも凝集構造は密であり、短繊維生糸としてその性能を 充分発揮できる原料繭であることが示された。
    2. 新素材としてのスパンロウシルクは、長繊維との混合繰糸および加撚することにより 糸の力学特性が、特に「ありあけ」の生糸の性能向上に著しい効果があることが 示された。
    3. 「ありあけ」の生糸を素材とした原糸用いて、婦人用カーディガン等のニット製品を 試作し、スパンロウシルクが新素材として利用できる可能性を提示した。
    図2 練り繭層の相互作用係数(春蚕期)
    表1 スパンロウシルクの力学的性質
  2. 技術・情報の適用効果
    絹が和装用素材としてのみならず、洋装用素材として利用でき絹製品の需要拡大に 貢献するのもと期待される。
  3. 適用の範囲
    ニット製品工業、地場産業
  4. 普及指導上の留意点
    技術指導が重要なポイントである。


[その他の特記事項]
研究課題名:スパンロウシルクの力学的性質、吸湿性、染色性および製品の試作
予算区分 :国庫
研究期間 :昭和63年〜平成2年
発表論文等:日本蚕糸学会学術講演会、第60;61回(1990;1991)
      東北蚕糸研究報告、第14;15号(1989;1990)