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桑種茎直播における着色フィルムの活着に及ぼす影響
福島県蚕業試験場 栽桑部
[部会名] 蚕糸
[分科会名]
[分類] (3)
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[成果の内容]
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技術・情報の内容及び特徴
桑種茎直播による活着の必要条件は土壌水分・地温の保持で、これを維持するためには
ポリエチレンフィルムが最適である。しかし、発芽後の地温が高温になり過ぎると
発芽や発根の障害になる。そこで発芽・発根の条件を保ちながら活着向上に有効な
フィルムの色について特性効果を明らかにした。
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ポリエチレンフィルム内の地温(4cm)は色による差が顕著で、被覆(4月27日)から除去
(5月20日)までの日最高地温の平均値では裸地の24.9度Cに比べ、透明は36.5度C、茶、
薄緑、濃緑、黒の28.3度Cのである。
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外温が31.1度Cであった1990年5月10日の最高値温は、透明45.0度C、茶44.0度C、
薄緑41.8度C、濃緑37.5度C、黒37.4度Cと差が大きい。
(図1)
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被覆期間で地温が35度C以上の日数は透明と茶が13日、薄緑12日、濃緑8日、黒で5日と
フィルムの色により日数の差が顕著である。
(図1)
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マルチ除去後の発芽数は、濃緑が26芽に比べ、透明は0芽と地温が高いほど少なく
高温障害を受ける。
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枝条の部位別活着率では、基部に近いほど高い傾向を示した。
(図2)
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地温が高めに推移した気象条件下では濃緑のフィルムが過昇温を防ぎ活着が優った。
(表1)
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技術・情報の適用効果
年により気象条件が異なったり、また地域によって気温が異なるので有効なフィルムの
色を選定することにより、種茎直播による簡易桑園造成に効果が期待できる。
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適用の範囲
県内全域
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普及指導上の留意点
ポリエチレンフィルムの被覆期間で、外温が25度C以上になる地域は色を濃緑、
20度C以下の地域は透明を使用する。
[その他の特記事項]
研究課題名:種茎直播による密植桑園の造成に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :昭和63年〜平成2年
発表論文等:東北蚕糸研究報告、第15号(1990)