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菌茸培養床利用による桑の凍霜害予防


岩手県蚕業試験場 栽桑部
[部会名] 蚕糸
[分科会名]
[分類]  (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    桑の凍霜害応急予防としては、重油燃焼法、オガ屑・重油燃焼法、古タイヤ燃焼法、 くんえん法、散水法等が行われているが、経費・労力等問題も多い。そこで、廃棄処分に 苦慮している菌茸培養床ブロック (図2) を用いた安価で取扱が簡便な防霜法を考案した。
    1. 10a当たり資材量は、菌茸培養床ブロック(大きさ約11cm×7cm)80個、A重油45リットル、 ポリエチレン袋(30cm×50cm)40枚。
    2. ブロックの調整法は、使用済み菌茸培養床ブロックを肥料の空袋か空缶などに入れ A重油を満たして48時間浸漬し、重油を良く浸み込ませる。これをポリ袋1袋に2個あて (約1.5kg)詰め込み、できるだけ固く縛る。
    3. 10a当たり40袋を園内に配置する。
    4. 点火は、桑園の地上1mの気温が1度Cになったときを目標とし、縄やボロ布に油を 浸み込ませたタイマツ様の点火棒で行う。
    5. 燃焼時間は約2時間であるが、火勢が弱くなった時点でブロックを棒などで半壊すると 火勢が強くなる。強い低温の場合はブロックを補充する。
    6. 霜害のおそれがなくなり、使用しないときは肥料の空袋などに入れ保存する。 ブロックは固形で壊れにくく、2〜3年は保存可能。
    表1 菌茸培養床ブロックと改良燃焼法の経費比較
    表2 菌茸培養床ブロックの大きさと重油吸収量
  2. 技術・情報の適用効果
    菌茸培養床ブロック利用による凍霜害予防法は、経費が安価で調整・取扱が簡便、 山間地帯の桑園で利用しやすく、昇温効果 (図1) は4〜5度Cで予防効果が期待できる。また対象作物は桑以外にも適用可能である。
  3. 適用の範囲
    県下全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. 菌茸培養床ブロックは、乾燥して重油がよく浸み込むようにする。
    2. 油浸時には、菌茸培養床ブロックが浮き上がらないように軽く重しをする。
    3. 薄いポリ袋は、破損しやすいので厚さ0.05mmのものを用いる。
    4. 凍霜害発生時期には、園内の除草を早目に行うなど留意する。


[その他の特記事項]
研究課題名:凍霜害の回避技術
予算区分 :県単
研究期間 :平成2年
発表論文等: