研究所トップ研究成果情報平成2年度

湛水土壌中直播栽培稲における苗立数と収量構成要素


宮城県農業センター農産部稲作科
[部会名] 地域水田農業
[分科会名]
[分類] (3) 

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    湛水土壌中直播栽培に適する品種「チヨホナミ」の苗立数に関して、収量構成要素 及び穂相との関係から検討を行い、以下の特徴を明らかにした。
    1. 苗立数が平方メートル当たり150本と多い場合、平方メートル当たり籾数はやや多く なるが、茎の細稈化により登熟力が弱まるとともに倒伏しやすくなり、登熟歩合が 低下する。また、苗立数が多いと収量は主稈及び低節位の一次分げつ依存する 傾向が強い。
    2. 苗立数が平方メートル当たり25本と少ない場合、平方メートル当たり籾数はやや 少な目となり二次枝梗籾の割合が増加する。収量は二次分げつに依存する傾向が 強く、また二次枝梗籾の登熟歩合が低いので、収量は変動しやすい。
    3. 平方メートル当たり苗立数50本〜100本では、収量は主稈と低・中節位の一次分げつ 及び一部二次分げつに依存する傾向となり、収量の変動が小さい。
    4. 収量の構成や穂相の特徴からみた最適な平方メートル当たり苗立数50本〜100本を 確保するには、苗立率の変動を考慮し播種量を乾籾重で4〜5kg/10aとする。
    図1 苗立数の違いと収量構成要素の関係
    図2 苗立数25と100(本/平方メートル)での分げつ節位別― 穂籾数と茎葉重の違い
    図3 分げつ節位別生産能力比の比較
    図4 播種後積算気温と苗立率の関係
  2. 技術・情報の適用効果
    1. 苗立数に応じた肥培管理、登熟向上、倒伏軽減技術対策等への活用が期待できる。
    2. 条播き湛水土壌中直播栽培での播種量の目安となる。
  3. 適用の範囲
    南東北地域の水稲条播き湛水土壌中直播栽培
  4. 普及指導上の留意点
    なし


[その他の特記事項]
研究課題名:
(1)寒冷地北部稲単作及び稲麦二毛作地帯における低コスト稲作技術体系の確立(昭和61〜62年)
(2)宮城県北部平坦地域における水田輪作体系の確立(昭和63年〜平成2年)
予算区分 :国庫助成
研究期間 :昭和61年〜平成2年
発表論文等:東北農業研究(43、1990)