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大豆「タチユタカ」の安定多収栽培法


山形県立農業試験場 畑作営農部
[部会名] 地域水田農業
[分科会名]
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 播種期は5月下旬〜6月上旬で、栽植密度は10〜12本/平方メートルが適切であった。 (図1)
    2. 開花期乾物重と収量との関係は、Y=-203.97+3.83X-0.0057X2の2次式で 近似することができ、450kg/10a前後のための適正開花期乾物重は290〜340g/平方メートル であった。 (図1〜図3)
    3. 密植では有効節数歩合の低下が大きく、主茎型で分岐の少ない品種にもかかわらず 密植適応性は低かった。また、密植によって開花期の乾物重は旺盛になるが、 登熟中後期のCGRが小さく推移するとともに、LAIが低下して乾物生産の停滞が みられた。さらに、密植では群落吸光係数がやや大きな値を示し、受光態勢の 悪化が認められた。 (図4)
    4. 収量と収量構成要素の関係では、稔実葵数、有効節数、有効節数歩合、有効節当り葵数と 有意な正の相関が認められた。安定多収には有効節数歩合を高めて有効節数及び 有効節当りの葵数を確保するかがポイントである。 (表1表2)
    5. 最大収量は、栽植密度10本/平方メートル、深耕(30cmプラウ耕)、基肥一発処理(LPコート100) の組合せで得られ、467kg/10aであった。その際の収量構成要素は稔実葵数820個/平方メートル、 総節数531節/平方メートル、有効節数歩合69.9%、一葵内粒数1.92、百粒重29.7gであった。 また、開花期乾物重、LAIはそれぞれ299g/平方メートル、4.6であった。 (表3)
  2. 技術・情報の適用効果
    標播・標植、深耕、基肥一発処理を組合せることで、スズユタカより収量性の低い タチユタカでも、450kg/10aの収量を達成することが可能である。
  3. 適用の範囲
    山形県全域
  4. 普及指導上の留意点
    成熟期の年次変動が大きいので播種適期を守り、極端な晩播は避ける。


[その他の特記事項]
研究課題名:中生良質大豆「タチユタカ」の多収安定化技術
予算区分 :特研
研究期間 :昭和63年〜平成2年
発表論文等:第33回東北農業試験研究発表会で一部を発表