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農産加工活動の安定化のための消費者嗜好の把握方法


宮城県農業センター営農機械部経営生活科
[部会名] 地域水田農業
[分科会名]
[分類]  (2)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    消費者の嗜好は多様化しており (表1)、 全ての人に好まれる商品を作ることはほとんど不可能である。従って、地域特産的な 農産加工活動を安定化させる一要件としては、特定の販売ルートを確立し、効率的な販売 を行うことがあげられる。そのためには、製品についての嗜好調査を行い (表2)、 その結果に基づいて販売方法 (表3) を十分吟味するという作業が不可欠となる。このことを農産加工活動の中に定着させる 必要性が指摘できた。
    これを、組織自身によって消費者の意向を把握し、販売ルートを検討する場合の ポイントとして、以下のとおり整理した。

    【消費者嗜好調査のポイント】
    1. まず、製品購入の対象となる消費者層を特定(確認)する。
    2. 対象とする消費者層の好みに合わせた製品を作る。
      • 消費者把握のための調査項目
        (1)性別 (2)年代 (3)就業形態(職業) (4)家族構成 (5)居住地 等
      • 嗜好把握のための調査項目
        1. 製品自体の (1)概観 (2)香り (3)歯ざわり (4)味 等
        2. 包装の (1)デザイン (2)表示内容 (3)量目 等
        3. 販売時の (1)接客態度 (2)衛生状態 (3)価格 等
    3. 次に、その消費・購買行動を知り、よく利用されている販売ルートに商品を乗せる。
      • 購買行動把握のための調査項目
        (1)日常の買物での最多利用購入方法
        (2)最多利用店舗までの平均時間
        (3)買物時の主な交通手段 等
      • 農産加工品に対する関心把握の調査項目
        (1)購入・利用の経験
        (2)購入の動機
        (3)再購入・利用の意志 等
  2. 技術・情報の適用効果
    自製品に対する消費者の意向を農産加工組織自らが広範囲に把握でき、これを 生産・販売方法の方向づけや製品の改良・開発に反映させることによって、 活動の安定化につながる。
  3. 適用の範囲
    宮城県内の農家あるいは農家を主体とする農産加工組織
  4. 普及指導上の留意点
    各組織によって、製品の種類や形態、販売方法や場所等が異なるので、 それぞれの特徴や調査の目的を的確に表した様式になるように注意する。


[その他の特記事項]
研究課題名:地域特産物を素材とした高次加工技術の確立と特産地形成
      地域特産品の定着条件の解明
予算区分 :国庫助成
研究期間 :昭和63〜平成2年
発表論文等:「農産加工品に対する消費者の嗜好と購買行動」『農村生活研究』第33巻3号
      「農産加工品と消費者ニーズ」『技術と普及』平成2年10月号