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ニホンナシ「幸水」の生産力と中間台木の効果
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[要約]
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「二十世紀」を主幹部中間台とした「幸水」は、中間台部を「長十郎」または
「幸水」等としたものより裂果の発生が少なく腋花芽分化率、果重、累積収量で優れて
おり「二十世紀」中間台方式で「幸水」の生産力を高めることができる。
福島県果樹試験場・栽培部
[連絡先] 0245-42-4191
[部会名] 果樹
[専門] 栽培
[対象] 日本ナシ
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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台木(ヤマナシ)に中間台として「幸水」、「長十郎」、「二十世紀」、「早生赤」、
「新水」、「バートレット」を接ぎ木し、地上部130cmで「幸水」を接ぎ木(接ぎ木年度
1981年)し、栽培試験を行った。慣行栽培8年(発結実後5年)目の1988年の時点では
「二十世紀」中間台方式の累積収量が優った。1991年は「幸水」、「長十郎」、
「二十世紀」中間台及びマンシュウマメナシ台(台木を地上部130cmまで伸ばし「幸水」
を接ぎ木)の2、3、4本主枝各2樹で主枝単位に基準化剪定をし、「幸水」の生育及び
生産性に対する中間台の効果を統計的手法(分散分析と主成分分析)を用いて検討した。
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[成果の内容・特徴]
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中間台の種類と主枝本数による分散分析の結果、裂果の発生、腋花芽分化率、果重、
側枝基部の新梢生育で有意差が認められ「二十世紀」中間台が優った。
(表1)
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また主成分分析による分類でも総合的に生産性の高い主枝群に属する中間台方式は
「二十世紀」中間台であった。
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1991年は生育期間中は多雨低日照で経過した年であったが、「二十世紀」中間台方式
では裂果、花芽分化率、収量、果重等は平年と変わらなかった。
(表2)また1988年の低温年の収量でも同様の傾向が
認められており、「二十世紀」中間台方式の効果は低温年で特に高いものと考えられる。
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また側枝基部の新梢の生育が他より優っていることから「二十世紀」中間台方式は不順
天候下でも樹勢が維持されるものと考えられる。
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[成果の活用面・留意点]
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特になし
[その他]
研究課題名:幸水の安定性管理技術確立に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成2年〜平成10年
研究担当者:佐藤 守、阿部 薫、井上重雄
発表論文等:昭和63年及び平成3年福島県果樹試験場業務報告