研究所トップ≫研究成果情報≫平成9年度
りんご「ふじ」の高品質果実生産のための摘葉時期及びその程度
-
[要約]
-
宮城県における「ふじ」の摘葉を、9月15日〜10月15日頃(収穫前60〜30日頃)
に行う場合は果そう葉全部と果台枝の半分の葉を摘むのを限度とする。
収穫前20日頃以降は樹の半分程度の葉を摘んでも果実の着色・密入り等は十分で、
果実品質の低下はない。
宮城県園芸試験場・栽培部・果樹科
[連絡先] 022-383-8132
[部会名] 果樹
[専門] 栽培
[対象] 果樹類
[分類] 指導
-
[背景・ねらい]
-
リンゴ「ふじ」で通常の着色管理として行われている葉摘み作業は、
果実の着色向上に大きな効果があるが、葉摘みの時期が早すぎたり、
程度が強すぎると果実品質や樹体生育に悪影響を及ぼす可能性がある。
近年、完熟密入りリンゴ「ふじ」が消費者から求められているため、十分に着色し、
密入りした果実が得られる葉摘みの時期とその程度について検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
9月13日頃(収穫前60日)の全果そう葉及び果台枝と発育枝の半数の摘葉(半摘葉)は
着色、糖度、酸度の低下を招き、実用性に乏しいが、
収穫前20日頃からは、樹の半分程度の葉を摘んでも果実品質の低下はない
(表1)。
-
10月15日頃(収穫前30日)の半摘葉は、着色向上に効果が認められるが、
果実品質は酸度、果汁がやや減少し、食味が低下する。
収穫前30日(10月15日頃)の全摘葉は、果皮色が鮮やかさを失った赤色(黒っぽい赤)
になる。果実品質は糖度、密入り程度、果汁量が少なく、食味の低下が大きい
(表2、図1)。
-
以上のことから、9月15日〜10月15日頃(収穫前60〜30日)の葉摘み程度は、
果実が葉から露出する程度に果そう葉のすべてと果台枝の半分の葉を摘む。
収穫前20日頃以降は樹の半分程度の葉を摘んでも果実の着色・密入り等は十分で、
果実品質の低下はない。
-
[成果の活用面・留意点]
-
高品質、密入り「ふじ」のための葉摘みの時期・程度の基準として利用できる。
-
この成果は暦日を目安としているので、果実の成熟が進んでいる時は
成熟促進日数の進みに合わせて葉摘みの時期を調節する。
-
樹勢が極端に衰弱している樹では、葉摘みは行わない。
[その他]
研究課題名:果樹の優良品種の選定法と栽培法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成9年度(平成7年〜9年)
発表論文等:摘葉時期がリンゴ「ふじ」の樹体生育と果実品質に及ぼす影響
園芸学会雑誌、第65巻別冊2号、1996