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岩手県におけるはとむぎ「東北3号」の栽培特性


[要約]

 はとむぎ「東北3号」は従来品種の「はとじろう」より収量性が高い。また、「はとじろう」と同等に短稈で着粒層も狭く機械収穫に適する。

[キーワード]

ハトムギ、東北3号、多収、機械収穫適性

[担当]岩手農研セ・園芸畑作部・野菜畑作研究室
[連絡先]電話 0197-68-4418、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 岩手県のはとむぎ産地は衣川村および東和町を含む花巻地域であり、栽培されている品種は「はとじろう」であるが、安定生産・供給、収益性向上の面から「はとじろう」より生産性の高い品種が望まれている。
 このため、「はとじろう」と同様に機械収穫が可能で、収量が高い「東北3号」を選定することではとむぎの安定生産を図る。
[成果の内容・特徴]
1. 「東北3号」は昭和63年に東北農業試験場資源作物育種研究室(現東北農業研究センター)において、早生短稈の「F6−22」(後の「東北1号」)を母親、多収系統の「奥羽4号」を父親として交配し、系統育種法によって早生・多収系統の選抜・固定により育成された。
2. 出穂期は「はとじろう」とほぼ同時期で、成熟期はやや遅い(表1)。
3. 草丈は直播で190cm前後、移植栽培で120〜130cmで「はとじろう」と同等である(表2)。
4. 着粒層は「はとじろう」と同等で機械収穫に適する(表2)。
5. 殻実収量は「はとじろう」より20%前後多い(表3)。
6. 耐倒伏性はわずかに劣るが機械収穫に支障はない。葉枯症状はやや発生しやすい傾向がある(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1. 「はとじろう」に替えて導入する予定であり、普及見込み面積は100haである。
2. 施肥及び栽植様式は「はとじろう」に準ずる。
3. 葉枯病にやや罹病しやすいので連作を避け、発生がみられた場合は対象薬剤を散布する。
4. 成熟後の脱粒は「はとじろう」並に生じやすいので刈り遅れないよう努める。
5. はとむぎはじゅずだまや他のはとむぎ品種と容易に交雑するので、採種栽培においてはこれらから隔離して栽培する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:はとむぎ優良品種の選定
予算区分:県単
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:門間剛、沼田聡