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福島県における小麦「きぬあずま」の品質向上のための収穫時期の判定


[要約]

 小麦「きぬあずま」の外観品質・加工適性を高めるための収穫適期は、未熟粒・穂発芽粒の発生程度や加工適性から見て、子実水分を基準にした収穫適期より早く、成熟期から成熟期後4日頃であり、穂や子実の外観から判断できる。

[キーワード]

コムギ、きぬあずま、収穫適期、子実、外観

[担当]福島農試・種芸部、相馬支場
[連絡先]電話 024-932-7785、電子メール noushi.aac@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 「きぬあずま」はめん加工適性の高い良質小麦品種であるが、福島県浜通り地方ではヤマセの影響による冷温高湿条件では穂発芽性が発生し、子実水分が十分に低下してからの収穫は困難である。このため従来の収穫適期より早く刈り取るための刈り取り時期とそのときの指標を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1. コンバイン収穫の適期とされる子実水分が35%以下となるのは、成熟期前に降雨の多かった2002年では成熟期後3日頃、降雨の少なかった2003年では成熟期頃である(図1)。
2. 子実の外観品質(検査等級)は、未熟粒が減少する成熟期頃から高まるが、成熟期後に降雨が多い場合には、発芽粒の発生により成熟期後4日には規格外となる(図2,表1)。
3. 成熟期後に降雨が予想される場合には、従来のコンバイン収穫適期より早い成熟期から成熟期後4日頃に収穫することで、外観品質・加工適性ともに高められる(表1)。
4. 加工適性から見れば、成熟期前4日頃から収穫可能である(表1)。
5. 早期収穫適期は穂・子実の外観から判定できる。これは穂が完全に黄化し、子実にわずかに帯緑粒が見られる時期である(図3)。
[成果の活用面・留意点]
1. 「きぬあずま」の収穫適期に降雨が見込まれる場合、子実の外観から収穫時期が判定できる。
2. 高水分の子実の乾燥にあたっては、通風温度に充分注意する。
3. 対象地域は福島県の浜通り及び中通り地方とする。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:小麦の高品質化のための品質制御技術
予算区分:東北農研委託(ブラニチ・1系)
研究期間:1998〜2003年度
研究担当者:丹治克男、吉田直史、二瓶直登、半沢伸治