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福島県における製パン適性の高い小麦「ゆきちから」の栽培法


[要約]

 「ゆきちから」の収量確保のためには、地域の標準期に播種し、基肥窒素は1.0kg/a程度が必要である。幼穂形成期追肥により穂数が増加して増収し、出穂期追肥では蛋白含量が増加する。積雪地帯の会津では早播きにより収量・品質の安定化が図られる。

[キーワード]

コムギ、ゆきちから、播種期、施肥法

[担当]福島農試・種芸部、会津地域研究支場、相馬支場
[連絡先]電話 024-932-7785、電子メール noushi.aac@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 「ゆきちから」は高蛋白で、製パン適性に優れ、耐寒雪性・耐倒伏性が強い良質品種であり、平成14年度に福島県の奨励品種に採用した。
 この「ゆきちから」の高い製パン適性を保ち、かつ安定した収量を得るための栽培条件及び施肥法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1. 中通り・浜通りでは、播種期10月下旬・播種量0.8kg/aで品質・収量が高まる(図1)。
2. 積雪地の会津では、早播(9月中旬)で初期生育が確保され、収量・品質が向上した。この場合、播種量の調整や踏圧により越冬前の生育を制御し、倒伏防止を図る必要がある(図1)。
3. 幼穂形成期追肥は穂数増による収量向上効果があり、出穂期追肥は子実蛋白含量を高める効果がある。この2回の追肥を実施することで、品質・収量ともに高まる(図2)。
4. 基肥窒素施用量を1.5kg/aまで増やすと収量・子実蛋白含量ともに高まるが、倒伏が見られるため、基肥量は1.0kg/aとし、追肥で対応する(図2)。
5. 成熟期の穂数が800本/m2以下の範囲では倒伏がみられず、穂数を確保することで収量が増加する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
1. 「ゆきちから」の収量・蛋白含量を高め、製パン適性の高い小麦の生産を図る。
2. 播種法はドリル播きとする。
3. 対象地域は福島県の会津平坦部および中通り・浜通り地方とする。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:小麦の高品質化のための品質制御技術
予算区分:東北農研委託(ブラニチ・1系)
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:丹治克男、二瓶直登、渡部隆、斎藤正明、半沢伸治、木田義信