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不織布のマルチ資材を用いたリンゴわい化栽培園の雑草管理


[要約]

  リンゴわい化栽培における雑草管理には、繊維密度が100g/平方メートルより高い不織布がマルチとして利用できる。マルチ資材による果実品質への悪影響は認められず、1年当たりの導入費は除草剤による雑草管理と同等である。

[キーワード]

不織布、マルチ、リンゴ、わい化栽培、雑草管理

[担当]宮城農園研・園芸栽培部・果樹チーム
[連絡先]電話 022-383-8132、電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 リンゴわい化栽培における雑草管理では、刈払い機を用いた樹冠下での作業が困難であるため除草剤を使用することが多いが、環境への影響などから除草剤を使用しない雑草管理法が求められている。不織布素材のマルチ資材は雑草の生育を抑制すると考えられるため、リンゴわい化栽培の樹冠下での雑草管理に適した不織布を検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 導入する不織布は、繊維密度が100g/平方メートルより高いものとする。100g/平方メートル以下の不織布では、使用限度が2年以下である(表1)。
2. 不織布を樹冠下に設置すると、年間を通して樹冠下雑草の生育を抑制する(図1)。また、「ラブシート通路マット」(図2)や「ザバーンTM240ブラック」では最低5年間は除草剤散布等の雑草管理は必要ない(表1)。
3. 不織布のマルチ資材による果実品質への悪影響は認められず、除草剤による雑草管理の場合と果実品質は同等である(データ省略)。
4. 不織布のマルチ資材を設置すると、除草剤による雑草管理に比べ樹冠下の土壌水分が保たれ、夏期の過乾燥を防ぐことができる(データ省略)。
5. マルチ資材の10aあたり資材費は、初年度導入費に8万7千円かかる。資材の減価償却期間を5年とすると、1年当たり導入費は除草剤による雑草管理の場合と同等である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. マルチ資材は金属やプラスチック製の留め具を用いて固定する。
2. マルチ資材の設置は、2人で作業をおこなった場合10aあたり約5時間かかる。
3. 成木園における施肥は慣行通りの量とし、マルチ資材表面に施用する。
4. 「ラブシート通路マット」は一般の園芸店で入手できる。
5. マルチ資材下は冬期地温が約2度高くなり、野そが集まりやすい。野そ被害の可能性がある園地では冬期にマルチ資材をいったん除去し、春期に再び設置する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:リンゴわい化栽培におけるJM台木等を利用した低樹高省力型栽培技術の開発
予算区分:新技術
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:安江恵美子、菊地秀喜、池田裕章、伊藤博祐