秋田県におけるリンゴわい性台木JM1、JM7の特性と導入基準
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[要約] |
リンゴわい性台木JM7はM.26並のわい化度を示し、収量性や生産効率に優れ、県内一円に導入が可能である。JM1はJM7やM.26よりわい化度が強く、多雪地域以外での利用に適する。
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[キーワード] |
JM台木、わい化栽培、地域適応性、多雪地域、生育量、収量性
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[担当]秋田果樹試・栽培部栽培担当、環境部土壌肥料担当、鹿角分場
[連絡先]電話 0182-25-4224、電子メール afsaibai@mail2.pref.akita.jp
[区分]東北農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい] |
果樹研究所が開発したリンゴわい性台木のJM1とJM7は挿し木繁殖性に優れ、国内の栽培環境に適応する国産台木として、普及拡大が期待される。そこで秋田県の代表的なリンゴ産地3地域においてJM1、JM7及び従来のわい性台木M.26の3台木で生育特性と地域適応性を調査し、JM台木の導入基準を作成する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
リンゴわい性台木の生育特性並びに地域性は県北部の黒ボク土1園、県南沿岸部淡色黒ボク土1園、多雪地域の県南内陸部水田転換園2園において、「ふじ」の2年生苗を1998年に定植して、検討したものである(表1)。 |
2. |
樹齢7年生の樹体生育量を比較すると、樹高、樹幅(列間方向)、幹断面積、側枝数、頂芽数、着果数、平均新梢長のいずれもJM1がJM7とM.26より有意に劣り、樹体が明らかに小さい(表2)。 |
3. |
硬度や糖度など果実品質には台木間の差はない(表2)。 |
4. |
1樹当たり収量の変化をみると、5年生(初結実)ではJM1が最も多いが、その後2年間の収量はJM7>M.26>JM1の順であり、累積収量もJM7が最も多く、JM1はJM7の約半分である(図1)。 |
5. |
生産効率は台木間に有意差はないが、県北部、県南沿岸部ではJM1がJM7より高く、県南内陸部ではJM1がJM7より劣る傾向がある(表3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
本研究は7年生までの結果であるが、JM7の植栽距離は4×3m程度が適切であると考えられた。また、作業機械の効率的利用を考慮すると4.5×3mという方法もある。 |
2. |
JM1は樹体が小さく、雪害を受けると頂芽の減少割合が大きい。また、被害後の回復力が劣り、生産効率が落ちるので積雪の少ない県北、県南沿岸地域での利用とする(図2)。この際、植栽密度は10a当たり100〜125本(4×2.5m〜4×2m植)が適切である。 |
3. |
JM1は結実期(4年生)までの生育量の確保が不可欠であり、肥沃度の低い土壌ではJM7よりやや多めの施肥量とする。 |
4. |
JM1、JM7ともに地上部台木長が短いとわい化度が劣る傾向にあるので、台木長は40cmとし地上部に台木部分を20cm確保する。 |
5. |
JM台木は野そ被害を受けやすいので被害回避には十分な対策が必要である。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:リンゴわい化栽培における省力・安定生産のためのJM台木利用・早期成園化技術の開発
予算区分:国庫助成(新技術)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:森田 泉、佐藤善政、嵯峨 清、中澤みどり、船山瑞樹、丹波 仁
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