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ニホンナシを加害するキクイムシ類に対する防除薬剤の検索


[要約]

 キクイムシ類の食入前から食入初期(4月〜5月)にかけてニホンナシの主幹部にマラソン・MEP乳剤(200倍、400倍)を2回散布することで、食入の予防と加害の進行防止に高い効果が期待できる。

[キーワード]

日本ナシ、キクイムシ類、殺虫剤、防除法

[担当]秋田果樹試・天王分場
[連絡先]電話 018-878-2251、電子メール aftennou@mail2.pref.akita.jp
[区分]東北農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、秋田県のニホンナシ栽培園においてキクイムシ類の被害が増加し、急激な樹勢の低下や枯死する樹が見られている。加害種はハンノキキクイムシとサクセスキクイムシが主体であるが、これまでに、本害虫に対する有効な防除対策が不明なため、既存薬剤による防除効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 秋田県におけるキクイムシ類の越冬成虫の主な活動時期は、マダラコールによる誘引消長から4月〜5月と考えられる(図1)。
2. ニホンナシの主幹部に対し、キクイムシの食入前から食入初期(4月〜5月)にかけて、マラソン・MEP乳剤200倍液を2回散布することでキクイムシ類の食入に対する予防効果が高い(表1、表2)。
3. すでにキクイムシ類の加害が見られる場合でも、マラソン・MEP乳剤200倍液または400倍液を散布することで、キクイムシ類が死亡し、木屑(フラス)の排出が抑えられる(表1、表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 現在、マラソン・MEP乳剤は適用害虫登録がないため、薬剤登録を急ぎ、現場への普及を行う必要がある。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:日本ナシにおけるキクイムシ類の発生生態の解明と防除法の確立
予算区分:県単
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:高橋 功、大隅専一、深谷雅子
発表論文等:高橋 功(2003)北日本病虫研報 54:160-164