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特産えだまめ「毛豆」の長期連続収穫体系の経営経済性
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[要約] |
「毛豆」の三品種を用いて、トンネルマルチと無被覆栽培の作型の組み合わせによる約3ヶ月間の連続収穫体系である。家族労働力2人、旬労働時間を64時間とすれば、この体系の最適な作型別作付面積の合計は39.41aであり、10a当たり所得は16万円になる。
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[キーワード] |
えだまめ、毛豆、品種、作型、長期連続収穫体系
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[担当]青森農林総研・経営研究室・水田利用部、青森畑園試・作物改良部
[連絡先]電話 017-734-9982、電子メール yoshihiro_nakata@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・経営
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
青森県にはおいしいと評価が高いえだまめの在来毛豆があるが、9月中旬以降に収穫される晩生種で津軽地域に限って消費されている。この毛豆の早生品種「あおもり豊丸」「あおもり福丸」が開発され、「毛豆」の早期収穫が可能となった。
そこで、これら3品種とトンネルマルチ栽培や無被覆栽培を組み合わせた長期連続収穫体系の技術確立と経営経済性及び産地化の方向を検討した。
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[成果の内容・特徴] |
| 1. |
最も早い作型は、「あおもり豊丸」の4月上旬播種・ハウス育苗・トンネルマルチ栽培で、最も遅いのは毛豆の6月上旬直播・無被覆栽培である。図1のように11作型を組み合わせることにより、「毛豆」が7月下旬から10月上旬まで継続して収穫でき、「毛豆」シリーズの販売が可能である。 |
| 2. |
作型別の10a当たり労働時間は、移植・トンネルマルチが多く、直播・無被覆栽培が少ない(表1)。また、作型別の経営費は移植・トンネルマルチ栽培が多く、無被覆栽培が少ない(表2)。 |
| 3. |
最も労力を要する収穫・選別・出荷作業のタイムスタディの結果、0.5a(販売数量35kg)を2人で作業する場合、莢もぎと選別が手作業では4.1時間、脱莢機・選別台利用が2.3時間で機械利用により省力化できる。また、共通する袋詰・封入・出荷作業が4.1時間であり、作付計画の目安に利用できる。 |
| 4. |
「毛豆」の長期連続収穫体系の作付モデル(脱莢機利用)を、家族労働力を2人、旬労働時間を64時間として、線形計画法(雇用労働なし、所得最大)で検討した結果、表2のような作型別面積構成で39.41aの作付が最適である。このモデル体系の10a当たり収益性は、労働時間が225.0時間、販売量が683kg、販売額が37.6万円、所得は16.0万円になる。 |
| 5. |
想定される「毛豆」の長期連続収穫のモデル体系は、7月下旬から10月上旬まで連続して収穫できる体系となっている。 |
| 6. |
在来毛豆は9月中旬以降の収穫で、作付面積が制約されていたが、3品種とトンネルマルチと無被覆栽培の作型の組合せで作付規模の拡大が可能になり、かつ「毛豆」の長期間連続出荷ができることから、特産「毛豆」シリーズの産地化が期待される。 |
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[成果の活用面・留意点] |
| 1. |
「毛豆」の産地化を図る場合、個別では個々の労働力事情を考慮して導入する作型を決定することになるが、産地全体としては一定量が継続して出荷できるような作付調整が鍵になる。 |
| 2. |
直売は収益面で有利であるが、販売量が制約されるので、産地化に当たっては市場出荷が不可欠である。その場合は、市場を特定し、仲卸と連携して相対取引が可能な体制づくりが重要であり、定時定量出荷、品質の揃い、包装資材の統一などが価格に反映するので留意する。 |
| 3. |
モデルの設定に際しては他作物の作付等を考慮し、「毛豆」シリーズの収穫は1旬のうち4日間を当てることとし、家族労働2人・1日8時間労働を前提としている。 |
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[具体的データ] |
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| [その他] |
研究課題名:中山間地域における産地マーケティングに基づく特産的高付加価値化農作物の生産技術
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:中田嘉博、佐々木伸幸
発表論文等:中田(2000)東北農業研究53:261-262
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