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ハトムギを原料とするペースト状食品の製造方法


[要約]

 地域特産物のハトムギを焙煎し、破砕し、煮熟し、ろ過濃縮することにより、Brix値が3〜50%のペースト状にしたことを特徴とする食品(以下、ペースト状ハトムギ茶)及びその製造方法を開発した。Brix値25%に調製したペースト状ハトムギ茶は、アイスクリーム等の加工原料に5〜10%の割合で添加することで容易にハトムギ茶風味の食品を加工することができる。また、冷凍保存ができ、様々な食品に添加して応用が可能である。なお、本技術は六条大麦を原料としても応用可能である。

[キーワード]

ハトムギ茶・ペースト・加工原料

[担当]岩手農研・生産環境部・保鮮流通技術研究室
[連絡先]電話 0197-68-4425、電子メール ka-oikawa@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 各地域の産直施設を中心に農産物加工への取組みが活発化し、農家の加工グループや農協等による商品化が進められている。衣川村では特産作物としてハトムギが栽培されており、これを利用した特徴ある加工品の開発及び商品化を支援することが要望されていた。そこで、ハトムギを原料とし、様々な2次加工品に利用可能なペースト状食品の開発を行った。
[成果の内容・特徴]
1. 殻付きのハトムギを焙煎し、破砕し、煮熟し、ろ過濃縮することにより、Brix値が3〜50%のペースト状にしたことを特徴とする食品(以下、ペースト状ハトムギ茶)及びその製造方法を開発した(図1、図2、表1)。
2. ペースト状ハトムギ茶は、Brix値と乾物率の相関が高いこと(図3)から、製品仕上げ点の簡易な判断方法としてBrix値を用いることができる。
3. ペースト状ハトムギ茶は、プラスチックフィルム製の袋に充填し、冷凍(−25℃)保存する方法が最も触感や外観の変化が少なく保存性が高い(表2)。
4. Brix値25%前後に調製したペースト状ハトムギ茶は、製造工程を大きく変えることなくアイスクリーム原料に容易に混合でき、5〜10%を添加することにより食感を変えずに風味の良いアイスクリームの製造が可能である(図3、4)。また、和菓子、洋菓子類にも広く用いることができる。
5. 本技術は、ハトムギの他、六条大麦を原料に用いても応用可能である。
[成果の活用面・留意点]
1. ペースト状ハトムギ茶は、焙煎工程により香ばしさがあるため、ヨーグルト等の酸味のある製品とは食味上相性が良くない。
2. 本成果の適用にあたっては特許出願者の岩手県との契約が必要である。
3. 本成果は岩手県内のハトムギ加工業者、菓子類等製造業者などが、加工品の希少性や食味を向上させる目的で用いることができ、ハトムギの生産振興や村おこしにつながることが期待できる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:特産作物ハトムギを利用した新規加工品の開発
予算区分:県予算
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:上山純子、及川一也
発表論文等:1)特許出願番号2003-279959「穀類食品及び穀類食品の製造方法」