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長ネギの溝切り施肥同時作業機


[要約]

 溝切り施肥同時作業機は、長ネギの植え溝作成と溝底への条施肥が可能で、溝幅・深さ、施肥位置を任意に設定できる。本機の設定範囲は、植え溝幅が30〜42cm、溝深さが0〜25cm、条施肥位置が中心から0cm、4cm(左右)、深さ0〜6cmである。

[キーワード]

ネギ、溝切り施肥同時作業機

[担当]秋田農試・技術実証プロジェクトチーム
[連絡先]電話 018-881-3330、電子メール m-katahira@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 長ネギの栽培では、肥効調節型肥料の全量基肥施肥技術の導入による低コスト化の研究が進み、植え溝を作りながら溝底に条施肥できる機械の開発が望まれている。そこで、トラクタに直装したロータリに取り付け、植え溝切りと施肥が同時に作業できる作業機を開発し、長ネギの生産現地で実証する。
[成果の内容・特徴]
1. 溝切り施肥同時作業機は、トラクタに直装したロータリの後方に設置できる(図1)。
2. 溝切り施肥同時作業機は施肥ホッパ、条施肥部、溝底成形板、排土板、側面成形板、溝幅調節部で構成される(図1)。
3. 植え溝幅は溝幅調節部で30〜42cm、溝深さはロータリの耕深を調整して0〜25cmに設定できる(図1)。
4. 条施肥部は施肥ホッパとホースで連結し、施肥位置を植え溝底の中心、中心から横に左右4cm、深さ0〜6cmに調節可能で、すじ条に施肥する(図1,2)。
5. 作業機の性能は、黒ボク土で溝幅が40cm、深さが20cm、施肥位置が植え溝の中心から横4cm、深さ1cmである。砂質土では、溝幅が34cm、深さが21cm、施肥位置が植溝の中心から横5cm、深さ1cmである(図2,表1)。
6. 溝切り施肥同時作業機は、作業速度が0.2m/s、10a当たり0.8〜1.2hで作業できる(表2)。
7. 作成した植え溝は、ロータリの耕起深よりも浅くなり、黒ボク・砂質土での植え付け深さ6〜7cm、露地育成苗を用いた半自動移植機での正常植え付け率100%を確保できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 使用するトラクタは、22kW以上の出力が必要である。
2. 肥料は、粒径2〜4mmの肥効調節型肥料を使用する。
3. 砂質土ではトラクタの滑り率が高まり、肥料の落下量が設定よりも多くなる。
4. 施肥量は、施肥ホッパ開度と施肥部駆動直流モータ回転数、作業速度を組み合わせて目的の量に調節する。
5. 本作業機は、受注生産を検討中である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:野菜の省力・低コスト及び持続的安定生産技術体系の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2002年度
研究担当者:片平光彦、久米川孝治、森川吉二郎、村上章、進藤勇人、田村保男
発表論文等:片平ら(2003)特願 2003-093096