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簡易切断結束テープ


[要約]

 簡易切断結束テープは、幅方向の中央部、長手方向と平行する位置に約10mm間隔でスリットを連続的に形成したもので、慣行テープと同等の強度を有し、長ネギ等の結束に用いた場合、テープの切断が容易で切断時間も短縮できる。

[キーワード]

簡易切断結束テープ、スリット

[担当]秋田農試・技術実証プロジェクトチーム
[連絡先]電話 018-881-3330、電子メール m-katahira@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・作業技術、東北農業・流通・加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 長ネギは、収穫後に皮むき等の調製作業を行った後、野菜に付着しない特殊な結束テープで2〜3本に結束して箱詰め出荷される。結束作業では、ネギの曲がり等で締め付けが不安定なため結束不良の束が頻繁に発生し、再結束にテープを切断する必要がある。また、結束した長ネギ等の野菜類について消費者に行ったヒアリング調査では、調理時に結束テープが即時に切れず苦心するとの声も多い。そのため、十分な強度を有しながら容易に切断できる結束テープを開発する。
[成果の内容・特徴]
1. 簡易切断結束テープは、幅方向の中央部、長手方向と平行する位置に約10mm間隔でスリット(スリット長:10mm)を連続的に形成したものである(図1)。
2. 切断方法は、結束物の間隙に位置するスリット部を指で押しながら下方向へ引いてスリット下部のテープを裂断した後、残ったスリット上部のテープを同様に指で押し上げて完全に切断する(図2)。
3. スリット部を幅方向に引いた最大荷重は、0.3〜3.9Nと小さく容易に裂断できる。長手方向は、テープにひずみが生じるまで慣行テープと同等の強度を有する(表1)。
4. 簡易切断結束テープを用いた長ネギ結束作業では、能率が2.5束/min、結束損失が0%と慣行テープと同じである。
5. 簡易切断結束テープで上下2カ所結束し箱詰めした長ネギでは、箱に振動(100回/min)を6時間加えてもテープに切断等の問題が発生しない。
6. 長ネギを結束した簡易切断結束テープは、慣行テープと比較して1束当たり切断時間を33.6%減少できる。(表2)
[成果の活用面・留意点]
1. 簡易切断結束テープは、長ネギの他にアスパラガスやレトルト食品等の生鮮・加工食品の結束にも適する。
2. 結束して生じる間隙が少ない野菜等では、切断性が劣る。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:野菜の省力・低コスト及び持続的安定生産技術体系の確立
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:片平光彦、佐々木和則、森川吉二郎
発表論文等:片平ら(2003)特願 2003-426430